猫の運動は体重維持やストレス発散のためにも大事です。しかし、部屋の中では満足に動き回れないため、運動不足になってしまいがち……。
運動不足は肥満につながり、それに伴う病気を招く可能性があるので、注意しなければいけません。
そこで今回は、猫の運動不足が招く病気や、運動不足を解消する方法について紹介します。
猫の運動不足のサインは?
食肉目の猫にとって、運動不足はストレス面での影響が多いです。ここでは「運動不足かも……」と思われるサインについて見ていきます。
肥満
運動不足や不適切な食事の結果がわかりやすく現れるのは、やはり体形の変化でしょう。品種によっては丸っこい猫もいますが、元々猫はスリムな体つきをしています。一番分かりやすい変化は、胸部を覆う助骨の上の脂肪のかかり具合。
品種によって変わってはきますが『肋骨を見る事はできないけど触って分かる』程度が理想の体形だとされています。その他の基準では『上からみて肋骨の後ろから腰までに僅かにくびれが見える』なども目安とのこと。
過度なグルーミング
猫のグルーミング(毛づくろい)は毛並みを整える以外にも、安心したい時に行うことがあります。運動不足な状態が続くと次第にストレスが溜まっていき、なんとか安心しようと過度にグルーミングをしてしまいます。
エスカレートすると、手足を噛んだり、毛が抜けるまで執拗に舐める事もあるため、普段から猫の行動に異常がないか確認しておきましょう。
無気力状態
運動不足で肥満になると、動きにくく疲れやすい身体になるため、自分から行動することを避けるようになっていきます。その結果、高い場所へ上がったり、おもちゃに興味を示さなくなったりするなど、無気力状態に陥る事も。
無気力状態は運動不足以外にも、精神的なストレスが原因の可能性もあるため、大事にならないように動物病院へ相談してみてください。
真空行動
真空行動とは、何もない空間に向かってジャンプしたり無意味に走り回ったりするような行動の事を言います。外で運動できない分、余った体力を発散させたり、ストレス発散のために行う事もあるため、過剰なまでに動き回るようであればストレスを溜めているのかもしれません。
一方で2歳くらいまでの猫なら自然な行動だという意見もあり、その場合はシニアになるにつれて大人しくなっていくとのこと。真空行動は30分ほど続けた後に段々落ち着きますので、頻度や時間を見て正常か異常か判断できるようになりたいですね。
猫の運動不足がもたらす病気
猫の運動不足は肥満を招き、肥満は様々な病気を招きます。糖尿病をはじめとする命に関わる危険な病気も少なくないため、普段からしっかり運動させて健康的な体系を維持させましょう。それでは、運動不足から来る病気についていくつか紹介してきます。
糖尿病
糖尿病とはインスリンが足りなかったり、うまく反応しない事によって血中の糖が増えていく病気の事です。本来インスリンは血中の糖を細胞に取り込んでエネルギーにしてくれる作用がありますが、これが働かなくなると身体に様々な異常が見られるようになります。
いわゆる生活習慣病といわれる病気の一つでもあり、不適切な食事や運動不足からくる肥満などが原因で発症します。主な症状として、多飲多尿、食欲はあるのに瘦せている、被毛にツヤが無くなるなどが見られます。
尿石症
尿石症とは、腎臓から尿道までの間に結晶や結石が出来てしまう病気の事で、尿路結石とも呼ばれます。石の大きさは目に見えない粒から数cm程度の大きな石までまちまちであり、特に大きな石は尿をせき止めてしまいます。これを尿路閉塞と呼び、1日以上おしっこが出ないと尿毒症という危険な状態になります。
尿石症は尿道が細いオス猫や肥満の猫が発症しやすく、また再発しやすい病気としても知られています。主な症状として、尿の回数が多い、尿の量が少ない、おしっこの時に痛みが生じる、血尿などが見られます。
脂肪肝
脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が付きすぎる事で機能しなくなる病気で、特に肥満猫が発症しやすい傾向にあります。肥満状態の猫が何らかの理由で食欲不振になると、エネルギーを確保するために体内脂肪を分解して糖分を得ようとします。その結果、肝臓に脂肪が一気に付いてしまい代謝が間に合わなくなるのです。
脂肪肝は、初期だと食欲不振や元気消失くらいしか見られず、飼い主の発見も遅れがち。肥満猫が急にご飯を食べなくなったら、この脂肪肝を疑いましょう。
猫の運動不足解消に役立つグッズ
猫はのんびりとした印象を受けますが、実は運動する事も大好きです。なお短毛種の猫に必要な運動量の目安は1日20〜30分、長毛種の場合は1日10〜20分といわれています。
それでは、猫の運動不足に役立つグッズである『キャットタワー』や『猫が喜ぶおもちゃ』について解説します。
キャットタワー
猫の運動は平面を走るよりも、上下運動が出来るかどうかの方が重要視される事が多いです。これは外敵から身を守るためなどに高い所に登る習性が残っているため、猫は高い所が好きだからという理由から。そのため、猫の運動は『ジャンプ』『登る』『降りる』といった運動を優先的にさせてあげましょう。
そのために有用なのがキャットタワーです。活発な上下運動が難しい部屋でも運動しやすく、スペースの確保も比較的容易。更に爪とぎ機能が付いているキャットタワーも多く、ストレス解消にも役立ちます。
猫が喜ぶおもちゃ
猫が喜ぶおもちゃと聞いて、真っ先に思い浮かぶのは猫じゃらしでしょう。これは猫じゃらしの速く細かく動く様子が、猫の狩猟本能を刺激するからだと言われています。同じような理由から、ボールやネズミのおもちゃなんかも運動にピッタリです。
ただし、猫はとても気まぐれな生き物。飽きたり興味を示さない事も珍しくなく、その状態で無理に遊ばせようとすると不機嫌になってしまいます。猫の機嫌に合わせつつ、スキンシップついでに遊ぶようにすると効果的です。
猫の肥満解消をサポートするフードの選び方
運動不足を改善するのも勿論大切ですが、既に肥満気味の猫には食事改善も効果的です。ここでは、キャットフードの選び方やおやつの与え方について見ていきます。
基本はライフステージごとの総合栄養食
総合栄養食とは、端的に言えば栄養がバランスよく含まれているペットフードの事です。理屈上の話にはなりますが、基本的には総合栄養食と水だけでも猫は健康的に生活できます。ペットフードの代表とも言える種類であり、ライフステージや体格別に分けられている事も多いため、自分の猫にあったフードを選びやすいのもポイント。
その中でもより細かく分けるのであれば『無添加』『低炭水化物』『動物性タンパク質質』を基準に選ぶ事をおすすめします。
間食はほどほどに
間食は猫のモチベーションを高めたり、気分転換に効果的です。しかし、猫のおやつは嗜好性を高めるために添加物を入れたり、脂質を多く含んでいる物も多く、与え過ぎると肥満になりやすくなってしまいます。
猫の栄養自体は総合栄養食でバランス良く取れるため、ご褒美やストレスケアなど、目的を持って適切な量を与えるようにしましょう。
猫の運動不足を解消して病気を予防しよう
猫は室内飼いが基本な事もあって、飼い主が意図的にサポートしてあげないと運動不足になりがちです。キャットタワーやおもちゃなど、猫が関心を引きそうな方法で運動させて、健康的な体型を維持させてあげましょう。
また、肥満気味な子には食事の方法も見直す必要があります。脂質や炭水化物の量に気を配りつつ、バランスの良い総合栄養食をメインにしてみてくださいね。
ぜひ本記事を参考に、猫の運動不足を解消して病気を予防しましょう。