愛犬のしぐさや様子をみて「運動不足かも……」と感じたことはあるでしょうか?
犬の運動不足は病気を招き、健康に悪影響を及ぼす可能性があるので、ぜひ気をつけたいところです。
そこで今回は、犬が運動不足の時に見せるサインや病気のリスクについて解説します。
今日からできる運動不足の解消方法についても解説していますので、ぜひ最後までごらんください。
犬が運動不足だと分かるサイン
犬は身体を動かす事が大好きな動物です。そんな彼らが運動不足になってしまうと、病気のリスクだけでなくストレスを溜めてしまう原因にもなりかねません。そうなる前に、愛犬の運動不足のサインについて知っておきましょう。
肥満体型になっている
犬の健康的な生活には、愛犬の理想的な体型を知る事が大切です。理想的な体型とはすなわち、痩せすぎず、太りすぎず、筋肉や脂肪がほどよくついている体型を指します。運動不足になると、筋肉が落ちてガリガリになっていたり、反対に脂肪がつきすぎて肥満体型になったりします。自分の愛犬の体型がどの程度なのか、しっかり把握しておきましょう。
理想的な体型かどうかのチェック方法ですが、真横から見た際に肋骨に適度に体脂肪が乗りつつ、上から見た際に腰のくびれが分かる程度の体型が理想とされています。また、胸からお腹までのラインが緩やかに曲線である事も判断基準の一つです。
ストレスが溜まっている
人間のようにゲームや読書などの手段を持たない犬にとって、身体を動かす事は何よりもストレス解消になります。そして、犬はドッグランや散歩など飼い主様とのコミュニケーションを兼ねているものが大好きな動物です。逆に言えば、運動ができない環境は多大なストレスを抱えてしまいます。
ストレスがたまると免疫力が低下して病気にかかりやすくなったり、ストレスを発散させるために所構わず暴れてしまうような事態にもなりかねません。愛犬が構ってほしそうにしている時は、運動不足でストレスを溜めているサインだと思いましょう。
無気力状態になっている
運動不足によって肥満になったり、筋肉が衰えたりすると、以前よりも身体が動かしにくくなり、更に運動できなくなるという悪循環に陥ります。その状態が長く続くと、やがて身体を動かす事自体が億劫となり、何事にも興味を示さない無気力状態になってしまいます。
無気力はただの『やる気がない』とは根本的に異なり、強いストレスから自分を守るための逃避行動の一つです。飼い主様のサポートや獣医師との連携が必要になる事も多いため、なるべくこの状態になる前に改善するのが望ましいですね。
犬の運動不足が招く病気のリスク
犬の運動不足は糖尿病や尿路結石など、様々な病気をもたらします。愛犬の健康のためにも、どんな病気になりやすくなるのかを見ていきましょう。
糖尿病
糖尿病とは、インスリンの作用が不足してしまう事で、体内に流れる血糖が高くなる病気の事です。いわゆる生活習慣病の代表的な病気の一つであり、私たちにもなじみ深い病気でもありますね。糖尿病は遺伝が関係するため一概には言えませんが、運動不足や食べすぎによる肥満も糖尿病になるリスクを高めてしまうとされています。
初期症状として多飲多尿や食欲増加、体重減少などが見られます。また、避妊手術をしていないメスは女性ホルモンの関係で糖尿病になりやすいため、繁殖させる予定が無い場合は早めの手術をおすすめします。
尿路結石
尿路結石とは、尿道というおしっこの通り道に結石が生じてしまう状態の事です。結石のサイズは様々で、おしっこと一緒に流れてしまうほど小さな結晶もあれば、おしっこを物理的にせき止めてしまうほど大きな石もあります。
特に厄介なのは大きいサイズの結石で、おしっこを止めてしまう事で毒素が排出されずに残ってしまいます。この状態の事を『尿毒症』と呼び、早急に対処しなければ命にかかわります。おしっこの回数が多い割に量が少ない場合は尿路結石を疑いましょう。
椎間板ヘルニア
椎間板ヘルニアとは、背骨の骨と骨の間にある椎間板(ついかんばん)と呼ばれる軟骨が変形する事で、神経を圧迫してしまう状態の事です。加齢や遺伝によってヘルニアになりやすい子もいますが、肥満や運動不足によってヘルニアを起こしてしまう場合もあります。
ヘルニアは神経の圧迫具合によって痛みが変わります。軽度であれば少し痛みがある程度で済みますが、重度の場合は自力での歩行が困難になるほどです。定期的に愛犬のボディチェックを行い、犬の様子に違和感がないか確かめましょう。
犬の運動不足を解消させる方法
犬に健康的に長く生きてもらうためにも、運動不足は避けたいところです。しかし、焦り過ぎて過度な運動をしてしまうと怪我の原因になります。正しい方法で愛犬の運動不足を解消してあげましょう。
運動のしすぎに注意する
運動不足は当然運動をして解消させていくのですが、大切なのは『愛犬に合わせた運動』を続けることです。運動不足になってから運動させるとなると、全盛期よりも体力や筋力は落ちているはずなので、それに合わせた運動が必要になってきます。
特に肥満体型の子は関節への負荷も大きいため、いきなり激しい運動は身体を壊してしまうリスクがあります。最初のうちは愛犬の様子を見ながら軽い運動で身体を慣らしていく事を意識しましょう。
散歩は毎日行うこと
犬にとって散歩は、『運動』『ストレス解消』『飼い主様とのスキンシップ』を兼ね備えたとても貴重な時間です。基本的に散歩は毎日行った方がいいでしょう。
散歩の時間は、小~中型犬は1日2回15~30分程度、大型犬は1日2回60~90分程度が目安です。後は愛犬の様子を見て時間を調整しましょう。ただし、天候の変化や水分補給のタイミングには常に注意する事を忘れずに。
室内で出来る運動
身体を動かすのが大好きな犬は、散歩だけでなく室内で遊ぶ事も大好き。特にボール遊びや縄遊びなどのグッズは飼い主様と一緒に遊べるため、愛犬が構って欲しそうにしていたら積極的に遊んであげましょう。
また、チワワなどの一部の小型犬は室内でも十分な運動量を確保できます。流石に散歩そのものは続けた方がいいですが、時間や天候の関係でどうしても外に出られない時は、室内での遊び時間を多く確保しましょう。
犬の運動不足以外でも気を付けたい肥満対策
肥満は運動不足以外でも、食事や病気でなる可能性があります。今回の趣旨から少し外れますが、こちらも合わせて見ていきましょう。
適切な食事を心がける
犬の肥満には食事方法も密接に関わってきます。特に近年のドッグフードは総合栄養食以外にも、嗜好性が高い代わりに炭水化物や脂質が多いフードも販売されているため、栄養バランスには注意したいところ。
犬の食事は『総合栄養食』と『水』だけで賄えるように出来ているため、それ以外の食事は量や栄養価を考慮した上で選ぶようにしましょう。
原因が分からない肥満は動物病院へ
運動も毎日行い、食事にも気をつけているのに愛犬が太っているように見えるのなら、何らかの病気を患っている可能性があります。例えば、肝臓や心臓に関わる病気の場合は、腹水と呼ばれるお腹に水が溜まる症状が見られる事が多いです。
愛犬の運動不足を解消しよう!
愛犬の運動不足は肥満やストレスの原因になりますし、そのせいで運動嫌いになって更に運動不足に……という悪循環に陥る可能性もあります。理想の体型維持のためにも、日々の運動は必要不可欠です。
また、運動不足でも見られる『体重減少又は増加』『筋肉が落ちる』などは、クッシング病などのホルモン関係の病気でも見られる症状です。運動や食事に気を使っているのにも関わらず、このような状態になった際は、一度動物病院で診てもらうようにしましょう。