レプトスピラ症は細菌が感染することによって発症する病気で、肝障害や腎不全を引き起こします。
軽度であれば自覚症状もないまま自然治癒しますが、重度のものだと死亡するリスクも。
今回は犬のレプトスピラ症の症状や予防策についてお話していきます。
犬のレプトスピラ症とは
犬のレプトスピラ症は、日本ではあまり発生件数も多くなく、人によっては聞いたこともない感染症です。そこでまずは、レプトスピラ症とはどういった感染症なのかを見ていきましょう。
レプトスピラ菌による感染症
レプトスピラ症はレプトスピラ菌に感染することで発症する急性熱性疾患、つまり発熱を伴う感染症です。今回は犬の情報を中心に説明しますが、レプトスピラ症自体は人間も含めた哺乳類全体に感染する人獣共通感染症(ズーノーシス)です。また人から人への感染も、まれながら確認されています。
レプトスピラ症はいくつか種類があり、その中でも犬の型は嘔吐や脱水が見られ死亡率も高い急性型、腎炎関係の症状が多い亜急性型、発症後3日程度で高い死亡率が認められる超急性型があります。また治療・回復後も、慢性腎不全が残る事が多いというのも分かっています。
国内での犬のレプトスピラ症は家畜伝染病予防法の対象となっており、農林水産省のホームページには発生件数が掲載されるようになっています。ただし対象は7つの血清型のみとなっており、具体的に何の型が流行っているのかは判明できません。
主な感染経路
レプトスピラ菌はネズミなどのげっ歯類、家畜、犬などの動物の尿から排泄され、水や土壌を汚染します。そのため染動物との接触、汚染された水や土壌から皮膚や粘膜を通して感染するのが主な原因です。
ただし感染したからと言って、発症するとは限りません。
世界と日本の発生状況
レプトスピラ菌は全世界で発生しており、特に湿気の多い場所を好み、熱帯及び亜熱帯において多く見られます。国際レプトスピラ症学会では、年間30万~50万発生していると推測されています。
日本においては年に数十件の報告があります。特に沖縄県に多く、2016年には最多の43件、近年では2021年には直近5年最多の24件が報告されています。ただし、留意するべき点として、報告対象になっていない血清型や断定できなかった例、そもそも届け出がなかった例も含めると実際の発生件数は更に多いと推測されています。
犬のレプトスピラ症の症状
レプトスピラ症には合計250種類以上もの血清型があり、その中には発症して数日で死亡してしまう恐ろしいものもあります。ここではレプトスピラ症の主な症状について見ていきましょう。
初期症状
犬がレプトスピラ症を発症した場合、初期症状として発熱や倦怠感、食欲不振、嘔吐、脱水、出血が見られます。ごくごく軽度の感染であれば、自覚症状もないまま自然治癒する事もあります。
ただし、レプトスピラ症の厄介なのは人獣共通感染症であること。自覚症状が無くとも菌は尿と共に排出されるため、そのまま飼い主や身近な人に感染する可能性があります。そのため、自分の犬が感染した場合、必ず手袋を付けて動物病院に連れていきましょう。
症状が進行すると
レプトスピラ症は血清型によって症状や危険性にバラツキがあるため、ここでは特に『亜急性』『超急性』について見ていきます。
・亜急性 主に発熱、食欲不振、脱水、嘔吐、結膜炎、急性腎不全などが見られます。
・超急性 甚急性とも呼ばれます。主に発熱、震え、出血、黒い便が見られます。多くは3~4日程度で死亡します。また、黄疸が多いものはより深刻で、2~3日程度で死亡します。
犬のレプトスピラ症の予防方法
レプトスピラ症は血清型の多さやワクチンの関係上、中々予防するのが難しい感染症です。
ここでは犬がレプトスピラ症にかからないための予防策について見ていきましょう。
レプトスピラ症を予防するには
レプトスピラ菌は尿の中では長く生きられず、感染経路のほとんどは汚染された水や土壌から。そのため発生が確認されている該当地域では、そもそもそのような場所に近寄らない事が大切です。
また環境を改善するのなら、ネズミや野犬が敷地内に入らないように対策するのも有効的。特にネズミの尿による餌や水の汚染には十分に注意しましょう。他にもレプトスピラ菌は熱及び乾燥、酸に弱いため、次亜塩素酸ナトリウム溶液、ヨード剤、逆性石鹸で消毒できます。
ワクチンはあるのか
結論から言えば、ワクチンはあります。ただし、レプトスピラ症のうちの数種類を予防するだけであり、その他の血清型には効果がありません。
レプトスピラ症の血清型は確認されているだけでも250種類、それも流行する血清型は地域によって異なるため、現在はより多くの血清型に対応できるワクチンが研究されています。
レプトスピラ症に注意しよう
レプトスピラ症は主に抗生剤を用いた治療が推奨されています。回復した後も慢性腎不全の治療があるため、長期間のサポートが必要になるでしょう。また飼い主やその周りに感染しないための対策も、考えなければいけません。
レプトスピラ症は日本では珍しく、自覚症状がない場合も多い感染症です。決して油断せず、定期的な健康診断と何か違和感があったらすぐに動物病院に連れて行くよう心がけましょう。