皆さんはペットを守るためのノミやマダニ対策はお済みでしょうか?
年々気温が高くなっていく昨今、熱中症予防に力を入れる人は多いですが、一方で感染症対策や吸血昆虫への対策を怠っている人も少なくないでしょう。
確かにこれらの生物から危険というイメージを持ちづらいかもしれませんが、彼らが運んでくる病原菌はどれも危ないものばかり。例えば、蚊が運んでくることで有名なフィラリア症に代表されるように、小さな生物の一刺しで生命の危機にさらされることもあります。
そこで今回は、ノミやマダニの恐ろしさからやってはいけないことまで紹介していきます。
具体的なノミやマダニ対策についても解説していきますので最後までご覧ください。
ペットのノミ対策法(夏に気をつけたい生物)
世界各国に生息し、時には恐ろしい感染症を引き起こす恐ろしい存在……それがノミです。日本ではあまり馴染みがありませんが、世界を恐怖のどん底に突き落とし、今もなお死亡者が絶えないペスト(黒死病)もノミが媒介して人に伝染します。
上記の通り、日本では鬱陶しいだけのノミは私達が想像するよりも遥かに恐ろしい生物なのです。
ここではそんなノミの生態や発見した時にしてはならないことについて解説します。
1.1そもそもノミってどんな生物?
ノミは体長1mm以下~9mm程度の小さな昆虫で、現在世界各国で1,800種ほど確認されています。また、そのすべてが成虫になった際に恒温動物の体表に住み着いて吸血します。因みに、同じく吸血昆虫として有名な蚊はメスのみが吸血しますが、ノミはオスメスどちらも吸血します。
ノミという名前は、人間の血を【飲む】から、または【跳ぶ】から由来しています。また、高く跳ぶというイメージが先行しており、実際に全長の60倍の高さ、100倍の距離を一気に跳ぶことができます。しかし、着地は不安定でしょっちゅう頭や背中から落ちるのだとか。
ぴょんぴょん跳び回り、吸血するのは成虫のみ。そのため、見えているノミを駆逐したとしても卵や幼虫、蛹は発見が難しく周囲に潜んでいる事が多い。※1これがノミを完全には駆逐しづらい原因となっています。
※1 一説には目に見えているノミは環境中のわずか5%の成虫、成虫以外の残り95%は周囲の環境にじっと潜んでいると言われています。
1.2ノミに吸血されるとどうなるの?
ノミは感染症の媒介者となる事が多いのですが、それとは別に危険なのが唾液によるアレルゲン反応と体内に潜んでいる瓜実条虫の幼虫です。
順に見ていきましょう。
まず唾液によるアレルゲン反応、これは【アレルギー性皮膚炎】の原因になります。アレルギーに強い反応を示す場合は一匹だけでも十分皮膚炎になる可能性があり、強烈な痒みを引き起こします。見た目は皮膚が赤くなってぶつぶつができたり、かさぶたになることもあります。
次に瓜実条虫ですが、これは【瓜実条虫症】の原因になります。サナダムシと言い換えたほうが分かりやすいでしょうか?少数に寄生される分には無症状であることが多く、大した問題にはなりませんが、多数に寄生されると下痢や嘔吐の原因となります。
なお、アレルギー性皮膚炎も瓜実条虫症も人間が発症することは十分にありえます。また猫を飼っている方に気をつけてほしいのがバルトネラ症と呼ばれる感染症。ノミが媒介するバルトネラ菌が猫を通して人に感染し、リンパ節が炎症や発熱を起こします。
1.3ノミ相手にやってはいけないこととは?
ノミは鬱陶しいことを理由によく潰してしまう人がいますが、これは絶対にやってはいけません。なぜなら、ノミを潰すと体内に潜んでいた瓜実条虫がペットの体内に寄生してしまい、下痢や嘔吐の原因となるからです。また、人間の場合もノミを潰した手を舐めて瓜実条虫症を引き起こすケースが報告されています。
このようなノミ対策として、よく取られている手段はノミ取りグシでノミをとってから水に入れておく方法です。こうすることでノミは溺死しますし、水を捨てるだけで終わります。念の為、動物病院で診察、薬を処方してもらいましょう。因みにゴミ箱に捨てるだけでは、繁殖してしまいますので、ちゃんと水に入れることが大切です。
2ペットのマダニ対策法(夏に気をつけたい生物)
はじめは小さくて見えないのに、血を吸われ続けるともの凄くデカくなることで有名なマダニ。特にお出かけが多くなる夏に気をつけたい生物です。
前項目ではノミ対策法についてお伝えしましたが、マダニの対策法はまた異なります。
ノミ同様に危険な生物なので、しっかり確認しておきましょう。
2.1そもそもマダニってどんな生物?
マダニは蜘蛛の仲間で、蚊やノミと同じく感染症の媒介者として有名です。しかし、その吸血方法はノミとまったく異なっており、咬み付いて吸血します。例えば、通常吸血昆虫は針状の口吻を皮膚に突き刺して吸血しますが、マダニはハサミのような口で皮膚を切り裂いて吸血します。
また、マダニは数多く存在する吸血昆虫の中でも特に吸血時間が長い昆虫です。特に卵の関係でより多く血を吸うメスの成虫は6~10日間ものあいだ血を吸い続け、1mlもの血を吸うこともあると言われています
先述したように感染症の媒介者としても有名で、特に日本では紅斑熱が顕著。毎年数百人が感染しており、死亡者も出ています。
2.2マダニに吸血されるとどうなるの?
マダニは特に犬の被害が多いですが、マダニの引き起こす感染症は犬に感染しても無症状、もしくは軽症状であることがほとんどです。しかし、バベシア症とエールリヒア症は危険な感染症です。
エールリヒア症は潜伏期間を過ぎた後に体重減少、出血、血色素尿などを引き起こします。こちらも恐ろしい感染症ですが、真に恐ろしいのがバベシア症です。
万が一、感染したら2~3週間後には症状が出始め、発熱、ビリルビン尿(茶色の尿)、貧血などを引き起こす他、【重症化すると多臓器不全により死に至る】こともあります。予防は勿論ですが、マダニに咬まれた可能性があるのなら早急に動物病院で診察を受けるようにしましょう。
また、マダニの恐ろしさはこれだけではありません。例え、犬では無症状や軽症で済んだとしても、人に感染すると危険な状態になるものが多いのです。先述した日本紅斑熱のみならず、Q熱やライム病、重症熱性血小板減少症候群(通称SFTS)など、どれも大変危険な感染症です。
2.3マダニ相手にやってはいけないこととは?
マダニは他の吸血昆虫とは違って数日間は吸血し続けますが、決して無理に引き抜こうとはしないでください。なぜなら、体内にマダニの頭部が残ってしまう可能性がある他、吸った血液が逆流して吹き出し、それによって感染症を引き起こしてしまう可能性もあるからです。
また、昔はワセリンを使用したり、火を使うとマダニが嫌がったりするなど様々な迷信が広がっていましたが、これらはすべて根拠があるわけではありません。ですので、無理に自分で摘出せず、医療機関にて摘出してもらうことをおすすめします。
3ペットがノミやマダニの被害に遭わないようにするには
ノミやマダニは外出時のみ注意すればいいわけではありません。実際には屋内にも存在します。室内飼いだからといって警戒を怠っていると感染する危険性もあるため、ちゃんと部屋の中も対策が必要です。
では、どのような対策が必要になるのでしょうか。
ここからはノミやダニに対する対策について解説していきます。
3.1外出時に注意すること
散歩に出かける際はなるべく茂みや草むらには近づけさせないようにしましょう。また、服を着させてあげるのも効果的です。とはいっても外に出る以上はどうしてもそういった場所に近づくことはありますし、暑い日中に服を着せるのはためらってしまうかもしれません。
そのため基本的には経口タイプ、または外用薬で予防するのが一番安心でしょう。
薬と聞くと身構えてしまうかもしれませんが、経口タイプにはジャーキータイプのものや味付きの錠剤タイプなど、犬が美味しく摂取できるものがあります。犬によってはアレルゲンとなるもの(特に大豆)もあるため、使用する際は獣医師と相談するのがいいでしょう。
また、外用薬は首の後に液体を垂らすタイプがほとんどです。ただしこちらは現在あまり推奨されていません。なぜなら、薬品耐性がついているマダニやノミもいる可能性があるためです。
3.2部屋の中にいる時に注意すること
先述しましたが、ノミやマダニは部屋の中でも注意する必要があります。なぜなら、外から入り込んでしまったマダニやノミがそのまま部屋に居着くことがよくあるからです。
特にノミは繁殖性の高さが有名で、成長したメスのノミが10匹もいれば1ヶ月程度で数万個の卵と十数万匹の幼虫が生まれるとも言われています。
また、家の中でノミやマダニを見かけた際はご自身の体やペットへの影響も考慮して、速乾性タイプのスプレーを使用するのが最も安全でしょう。子供やペットがいるご家庭用に開発されたスプレーなども販売されているため、それらを使用するようにしてください。
4ペットのためにノミやマダニ対策は万全に行おう
ノミやマダニは非常に小さく、ペットが吸血されたことに気づかないということも珍しくありません。万が一、そのまま放置してしまうと感染症を発症してしまう可能性もありますし、部屋の中にまで侵入してくる恐れもあります。
例え咬まれたり刺されたとしても、潜伏期間や無症状の場合があるため、「なんとなく痒そうにしているような?」と疑問に思いつつ、放置してしまう人もいます。
これは今回に限ったお話ではありませんが、何か疑問に思うことがあれば必ず獣医師に相談をしましょう。
また、飼い主やペットが気をつけていても、野良猫が運んできてしまうというようなどうしようもない場合もあります。結局のところ、吸血昆虫は吸われたらどうするのかというより、そもそも吸われない環境を作るのが一番なのです。もちろん吸血された時の対策は覚えておくことをおすすめしますが、その前に予防薬や定期的な診察を万全に行うことを心がけましょう。