犬がご飯を食べない場合、病気のサインかもしれません。とはいえ、どのように対処するのが正解なのか戸惑ってしまいますよね。
そこで本記事では、犬がご飯を食べない理由や対処法、食欲不振が症状にある病気について解説します。
大切な家族である犬の健康を守るためにも、正しい情報を得て行動しましょう。
犬がご飯を食べない理由
犬は元気なのに、なぜかご飯を食べないという場合があります。病気かもしれませんし、年齢による問題かもしれません。ここでは、病気以外で考えられるご飯を食べなくなった理由について解説します。
ストレスを抱えている
引っ越し直後や散歩に行けていない時などにご飯を食べない場合、愛犬がストレスを抱えている可能性があります。犬も人と同じように、ストレスを感じると無気力状態になったり、食欲が落ちてしまうのです。
また環境の変化以外でも、コミュニケーション不足や留守番のさせすぎなど、飼い主との触れ合いが足りていないと感じるとストレスの原因になります。愛犬との時間を多めに取り、ストレスを解消させてあげましょう。
食べにくい食事環境になっている
お皿の大きさが自分と合っていなかったり、周囲がうるさいなど、食事環境が悪いと犬もご飯を食べたがりません。もちろん、犬によって好みの環境は変わってきますが、現時点でご飯を食べない場合は食事環境を変えてみるのもいいでしょう。
例えば、お皿は犬のサイズに合わせた大きさの物を選んだり、静かな場所でご飯を食べさせたりするなどが効果的です。ただし、場所に関しては静かな場所を好む子もいれば、飼い主の食卓に近い場所を好む子もいます。単純に犬の性格が出ているため、自分の子に合った場所を探してみてください。
運動不足でカロリーを消費していない
普段からあまり運動をしてないと、カロリーが消費されていないためお腹が空きません。お腹が空かないのなら、当然ご飯もあまり食べなくなります。ほんの少しだけご飯を食べてすぐ残すようであれば、単にそれだけでお腹がいっぱいになっているのかもしれませんね。
ただし、十分な運動をしているのにも関わらずご飯を少ししか食べない場合は、病気の可能性も考えられます。『コミュニケーションを取っている』『毎日散歩している』など、しっかり身体を動かしている場合は別の可能性を考慮しましょう。
わがままになっている
甘やかされて育った犬は『自分の好きなご飯しか食べない』など、わがままになっている可能性があります。特にご飯ではなくおやつなど嗜好性の高いものばかり与えていたり、自分の食べている物を「犬も食べられるから」とあげたりしていると、ドックフードに興味を示さなくなる事が多いです。
こうした思考は犬の性格によるものというよりは「ご飯より美味しい物をくれる」と犬が学習している事が原因だと考えられています。ドッグフード以外の物ばかり食べていると栄養が偏ってしまうため、早めに対処しましょう。
老化によって食が細くなった
犬が8歳前後になっているのなら、シニア犬になって食が細くなっている可能性があります。老化によって筋肉が衰える事で必要になるカロリーも減ったり、代謝が悪くなる事でご飯を食べる量が少なくなっているのです。また、ドライフードはシニア犬には硬いため、そもそも食べない事も珍しくありません。
その他、味覚や嗅覚も衰えてくるため、ある程度嗜好性が高くないと興味を示さない事もあります。
犬がご飯を食べない時の対処法
犬がご飯を食べない時、その理由が病気ではないのなら、食事方法を見直す事で改善するかもしれません。ここでは、効果的な食事の改善方法について見ていきます。
ウェットフードにしてみる
普段はドライフードを与えているという人は、ウェットフードを与えてみましょう。ウェットフードはニオイのしないドライフードと比較して嗜好性が高く、全体の8割近くの水分を含んでいるため水分補給も行えます。老犬の場合は、顎の力が衰えていても食事できる点も優秀です。
ただし、歯に付きやすい点や顎トレーニングを別途で行う必要がある点には注意しましょう。また、総合栄養食であるドライフードに比べて、ウェットフードは栄養価がやや低い傾向があるため、ドライフードに混ぜる、週に1回だけウェットフードにするなどの対策が必要です。
ご飯の時間を固定化させる
例えば、朝早く食べてしまうとお昼前にお腹が空いたり、反対に昼過ぎにご飯を食べると夜もお腹が空いていないなんて事ありますよね。ご飯の時間を固定化させる事で、空腹になるタイミングを一定にできます。
また、ペットならではの注意点として、ご飯を食べないからといって放置してはいけません。犬が「いつでも食べられる」と学習してしまい、不規則な食事をするようになってしまいます。
運動させてお腹を空かせる
身体をたくさん動かした後のご飯は格別ですが、これは犬にとっても同じ事です。毎日散歩させる事はもちろん、定期的にドックランなどで運動させてご飯を美味しく食べてもらいましょう。また、運動不足は食欲不振以外でも抑うつや肥満を招くため、健康的な生活のためにも運動は欠かせません。
ただし、怪我や病気を抱えている子は無理をさせないように。シニア犬も犬の体調を随時確認しながら運動させてください。
飼い主の手でご飯をあげてみる
フードを変更した場合、慣れない匂いや味に戸惑って、ご飯をたべなくなる犬もいます。また、皿が苦手という犬もいます。そんな時に飼い主の手でご飯をあげることで、安心して食べれるようになることがあります。
ただし手でご飯をあげるのが癖になってしまうと、自らご飯を食べられない状態になってしまう恐れがあるので注意してください。犬にあったドッグフードを探したり、皿の種類を変えたりして対策しましょう。
犬がご飯を食べない時に考えられる病気
特別な理由が思いつかないのにご飯を食べない場合、もしかしたら病気を患っているのかもしれません。病気によっては命に関わるものもあるため、一度動物病院で診察を受けさせた方がいいでしょう。ここでは、食欲不振が症状にある病気を3つほどご紹介します。
歯周病
歯周病は食べかすを元に増えた歯垢が原因で起きる炎症で、3歳以上の犬の8割が歯周病になっていると言われています。歯肉が出血していたり、口臭がキツイ場合はこの歯周病かもしれません。
歯垢の場合は歯磨きでもキレイにできますが、問題は歯垢から歯石になった場合です。歯石は動物病院で歯石除去をお願いしなければならず、また犬は歯垢が歯石に変化する速度が早いため、気がついたら歯石まみれだったというケースも多いです。そのままだと顎下に穴が開く事もあるため、急いで治療する必要があります。
予防として毎日のデンタルケアを欠かさず行い、定期的に歯石除去をお願いする事が大切です。
急性胃腸炎
急性胃腸炎は急激なストレスや誤食が原因で起こる一過性の胃腸炎で、主に下痢や嘔吐が見られます。また、それらが原因となって脱水症状が引き起こされる事もあります。多くは数日くらいで自然に治りますが、あまりに症状が重い場合は動物病院で点滴を打ってもらいましょう。
予防として散歩中は変な物を食べないように注意する、過度なストレスを与えないなどが挙げられます。
腎不全などの内臓疾患
食欲不振以外にも、黄疸、尿の異常、元気消失などが見られる場合は腎不全を始めとした内臓疾患を患っている可能性があります。特にシニア犬は腎不全を発症しやすく、急性の場合は死亡率も高いため早急に治療しなくてはいけません。
予防としては何よりもバランスの取れた食事と水分補給が大切です。また、定期的な健康診断が病気の早期発見につながります。
何日も犬がご飯を食べないならすぐに獣医師に相談しよう
たとえどんな事情があろうとも、健康的な犬が何日も絶食するなんて事はほぼありえません。気分やストレスなどで一日だけ何も食べないならともかく、それが何日も続くようであれば危険な状態です。
犬の体調には常に気を配り、何かおかしな点があれば獣医師に相談するようにしましょう。