ペットの健康を確認し、何か異常があればすぐに発見できるのが健康診断。
もちろん個人で出来ることはしておくのが大切ですが、やはり動物病院でなければ分からない事も多いです。
とはいえ飼い主の中には『いつ』『なんの項目を受けるのか』について分からないという人も多いでしょう。
今回はペットの健康診断についてお話していきます。
ペットの健康診断
そもそも健康診断とは何のためにあるのか、定期的といってもどれくらいの頻度で行けばいいのか、当たり前にあるからこそ分からない事も多いです。
ここではそんなペットの健康診断の基本的な部分について見ていきましょう。
ペットの健康診断は必要?
動物病院だけでなく、様々なところで『ペットの健康診断は絶対に必要!』と耳にします。当たり前と言えば当たり前ですが、なぜ必要なのかについて意識した人は少ないのではないでしょうか。
答えは簡単、ペットは自分の体調を飼い主に報告できないからです。例えば、自分が不調だったら自分の判断で病院に行けますし、子供も親に不調を訴える事ができます。対して動物は飼い主にも分かるように人間の言葉で不調を報告できませんし、動物によっては自分の弱みを見せないように我慢する子も多いです。
気が付いたら危険な状態だった……このようなケースは決して珍しくありません。病気によっては身体の外側だけでは判断できないものもありますし、そういった病気を発見するにはレントゲンなどの本格的な設備が必要です。
いわばペットの健康診断は、自分の子が親に「自分は健康だよ」「自分はちょっと体調が悪いよ」と申告する代わりのようなもの。こう聞くと、どれだけ健康診断が重要であるかがイメージできますよね。
健康診断の頻度
定期的に……と言っても、具体的にはどれだけの頻度で通えばいいのでしょうか。まず大前提として、飼いはじめた直後に1回健康診断を受けた方がいいです。その後は年に1回は受けるようにしましょう。
ただし、これはあくまで最低限の回数。実際はペットの年齢や状態によって回数を調節した方が良いです。特にもともと身体の弱い子や、7歳以上の老犬は回数を増やした方が病気や怪我の早期発見に繋がるため、より安心でしょう。
また、明らかに健康な状態であっても健康診断に行く事をおすすめします。腎臓病のように初期症状だけでは病気かどうか判断しにくいものもありますし、仮に健康そのものだったとしても『健康の時の状態』を知る事ができるためです。どの数値が正常値なのかを知れば、どれくらいだと異常なのかも分かりますからね。
ペットの健康診断ってなにをするの?
健康診断とひとくちに言っても、その項目は様々です。項目によって分かる事が異なりますので、初見だとどの項目がどんな意味を持つのか混乱するかと思います。ここではそんな健康診断の項目について見ていきましょう。
飼い主から状態を聞く『問診』
普段の状態を飼い主から聞く事を問診(もんしん)と言います。ご飯はちゃんと食べているか、排泄の様子はどうか、何か行動に違和感がないかなどを聞いて、獣医師の視点から問題がないか判断します。
この時重要なのが、どんなに些細な事でも話しておくことです。例えば、「普段は元気だけど尿の回数が少し多い」など、元気だけど〜というフレーズはとても大切です。先述したように、傍目からは元気でも病気の初期段階である可能性は十分にありますから。
見て聞いて触る『視診・聴診・触診』
ペットの健康診断と言えばこれをイメージする人は多いでしょう。獣医師が直接ペットに何か異常がないかチェックします。特にペットが痛がっている箇所はないか、しこりがないか、心臓の音は正常かなどは念入りに確かめます。
また、体重測定もこの項目で診る事があります。1日で体重が一気に増えたり減ったりするならともかく、毎日ほんの少しずつ体重が増減していたら飼い主も中々気が付きません。病気や不調、生活習慣の乱れは体重に反映される事が多いため、定期的に体重を測る事が重要なのです。
身体の中の状態を見る『血液検査』
血液検査では採血する事で貧血、ホルモンの異常、高脂血症、血糖値、肝臓や腎臓の異常をチェックします。
ただ、血液検査の結果として出てくる数値だけが全てではありません。検査で分かるのはあくまで『正常値に比べて高い(低い)かどうか』だけです。数値が異常だからといってすぐに病気になるわけではありませんし、逆に正常値でも必ず安心というわけでもありません。
小さい頃から血液検査をする事で、その子にとってベストな数値を見つけ出し、何か異常があれば改善する。それが血液検査において重要なのです。
感染症や各病気を察知する『尿・便検査』
ペットの尿や便は、私達が想像する以上に色々なことが分かります。尿を見れば腎臓の機能が正常かどうか、尿路結石は出来てないかが分かります。便を見れば寄生虫がいないか、消化はちゃんと出来ているかなどが分かります。
特に子犬や子猫などの若い子は寄生虫の感染が多かったり、逆にお年寄りの子は消化がちゃんと出来ていなかったりするため、便検査は1回はウケておくといいでしょう。
その他の検査
その他にも、『レントゲン検査』『エコー検査』『MRI検査』は獣医師と相談しながら受けるかどうか判断しましょう。それぞれ簡単に説明していきます。
・レントゲン検査
内臓の形や大きさに異常がないか、骨格や関節に問題がないか、腫瘍はないかを見ます。
・エコー検査
レントゲン検査よりも更に細かく内臓の状態を確認します。
・MIR検査
電磁波を使って脳の異常がないかを確認します。
ペットの健康は常にチェックしよう!
ペットの健康診断は病気の早期発見だけでなく、状態を見て飼育時のアドバイスなんかもしてくれる貴重な機会です。また健康時に取ったデータは、そのまま病気の時に役立つため、ただ行くだけでもかなり重要な意味を持ちます。
一方で、健康診断はあくまで当日や短期的に健康だったかどうかを調べるものです。ペットの健康を維持するためには、やはり飼い主がちゃんとペットの様子を観察し、何か異常があったらすぐに動物病院に診察を受けに行くことが、何より大切だということは忘れないでくださいね。