狂犬病予防ワクチンをなぜ接種するのか?

狂犬病ワクチン コラム

狂犬病は日本において近代はずっと感染事例が無いため、ワクチン接種のお知らせなどでその存在を知りながらも詳細な部分までは聞いたことがない人もいるのではないでしょうか?実際、現在の日本においては感染する危険はほぼ0%と言っても過言ではなく、ワクチンの副作用の方を心配して接種させるのを躊躇する人もいます。

 

しかし、狂犬病は未だ海外では発症事例もあり、日本であったとしてもワクチンがなければ広がる可能性はあります。国内における狂犬病の危険性がほぼ無い昨今だからこそ、今一度狂犬病の恐ろしさとワクチンの重要性について学んでみましょう。

 

今回は狂犬病に関する様々な疑問点や基礎知識について解説していきます。

1狂犬病って何?

そもそも狂犬病とはどういったものでしょうか?ワクチンを強制されるほど危険なものなのか、感染したらどんなことになるのかなど、意外と知らない方も多いです。

 

ここでは狂犬病に関する基礎知識について解説します。

1.1狂犬病は致死率ほぼ100%の感染症

狂犬病を一言でいうと【治療法がなく感染するとほぼ確実に死に至る感染症】。これは感染する国によってではなく、そもそも明確な治療法がないのです。だからこそ予防が最重要だとされているわけですね。ではより深く狂犬病について見ていきましょう。

 

狂犬病はその名の通り犬に感染し、犬から人に感染します。ただし、犬だけではなく他の動物からの感染報告も挙げられています。人から人への感染報告はありません。先述したように感染してしまえば治療法がないため、医療機関では主に患者のメンタルケアや症状を和らげることしかできず、命を救えることはほぼないとされています。

 

潜伏期間は1ヶ月から3ヶ月であり、噛まれた箇所は痺れたり痛む程度だそうです。そこから発症し、初期症状として頭痛や発熱などの風邪などでよく見られる症状があらわれます。その後進行すると過度な興奮、幻覚、意識障害などが起こります。また同時に恐水症を発症、水の刺激で全身が痙攣し水をまともに飲むことができなくなります。

 

最終的には全身がけいれんを起こしたり、不整脈となって死に至ります。発症から死亡まで一週間もかからない反面、潜伏期間があるため噛まれた場合でも発症するまでに対策することで発症を防ぐこともできます。

1.2日本での狂犬病感染事例

日本で大きな感染事例はおそらく1923年の関東大震災でしょう。当時の混乱の影響もあり、翌年は726件もの感染が報告されました。これにより人的被害はもちろんのこと、直前の1922年には家畜伝染病予防法が制定されていたこともあり、当時感染していた全ての家畜が殺処分されました。

 

その後1925年には飼い犬の予防接種と野良犬の取締りが厳しくなり、それによって徐々に感染報告が減ってきて今に至ります。直近では日本にずっと住んでいて日本で感染したとされる報告はないですが、海外からの輸入感染症例は度々報告されています。

 

近年でも2020年におよそ14年ぶりに狂犬病の患者が亡くなっています。あくまで輸入感染ではありますが、決して他人事ではないのが現実です。

1.3海外での狂犬病感染事例

日本も含め、狂犬病が発生していないのは全て島国や岩山に囲まれた国など、そもそも物理的に感染しにくいところばかりです。世界全体では狂犬病にかかることは珍しくなく、年間で4万〜7万人もの人が狂犬病で亡くなっています。

 

狂犬病は犬というありふれたペットから感染するということもあって、一度流行ってしまったら駆逐するのに大量の時間とお金が必要になるため、中々全滅には至らないことが多いのも原因です。

 

先進国ならともかく、ワクチンがすべての国に行き届く訳でもないですし、衛生的ではない場所はそれだけでリスクになります。致死率がほぼ100%であることを考えれば、これぐらい死者が出てしまうのも恐ろしいことではありますが納得と言わざるを得ないでしょう。

2狂犬病ワクチンについて

狂犬病ワクチン

狂犬病の恐ろしさは伝わりましたでしょうか?日本でも過去に何人もの犠牲者を生み出した感染症、それが今は国内では発見されていないのは一重に皆様がワクチン摂取を怠っていないからです。

 

ここでは狂犬病ワクチンについて詳しく解説します。

2.1初めての狂犬病ワクチン

狂犬病ワクチンを初めて打つ人はその手順が分からない人もいるかと思います。実際、登録や注射までの間にすべきことなど、やらなくてはいけないことが色々あり、混乱してしまうこともあるでしょう。そこで、犬を飼った直後からワクチンを打つまでの期間を下記にまとめました。

 

・犬の登録

まずはじめに狂犬病予防法に基づき、生後91日以降の犬には登録、鑑札及び狂犬病予防注射済票の装着が義務付けられています。登録は動物管理センター、保健所、区役所、委託動物病院にて登録できますので、忘れずに登録しましょう。登録時に鑑札も交付されます。なお、登録時には3,200円、鑑札の再交付には1,800円かかります。

 

・狂犬病ワクチン接種

ワクチン接種のタイミングは、その犬が以前に狂犬病ワクチンを打ったかどうかによって異なります。生後91日以降の犬かつ狂犬病ワクチンを打っていない場合は、飼い始めてから30日以内に集団接種か動物病院にてワクチン接種をしてください。それ以外の場合は接種期間(毎年4月から6月)に接種することになります。

 

・狂犬病予防接種済票

委託動物病院にて予防接種を受けた場合、即時交付が受けられますが、その他の動物病院で受けた場合は手続きをする必要があります。といっても難しいものではなく、動物病院にて予防接種の証明書を貰い、動物管理センター、保健所、区役所のいずれかにて受付を行うだけで交付されます。

2.2狂犬病ワクチン接種期間を過ぎそうな場合

もしなんらかの事情でワクチン接種期間を過ぎる可能性がある場合は、なるべく間に合わないかもと思った時点で獣医師の判断を仰ぐようにしてください。ただし、本来は接種期間内に接種する事が大前提であることを忘れずに。

 

また、登録及びワクチン接種は義務であり、破った場合は狂犬病予防法に基づき20万以下の罰金が設けられています。実際、2018年には73歳の男性が飼っている犬30匹の予防接種を怠ったとして逮捕される事件が起こっています。狂犬病は非常に恐ろしい感染症です。赤の他人がやった事だと切り捨てず、必ず予防接種は受けさせてください。

3狂犬病ワクチンの疑問点

狂犬病ワクチンは当たり前の日本だからこそ、副作用やお金の問題にも目がつくもの。大切なペットだからこそ、この辺はしっかりとしたい方も多いのではないでしょうか?

 

ここでは狂犬病ワクチン関係のよくある疑問について解説します。

3.1狂犬病ワクチンの副反応

狂犬病ワクチンに限らず、ワクチンには少なからず副反応が生じる危険性があります。厚生労働省によると、狂犬病ワクチンによる副作用では疼痛、元気及び食欲の不振、下痢や嘔吐等の一過性の副反応が認められるケースがあるとのことです。

 

また過敏体質の場合はアナフィラキシー反応やアレルギー反応があることもあるようです。ただし、可能性としては0.0007%程度と極僅かであり、混合ワクチンよりも更に安全だとされています。

3.2海外で犬に噛まれたら

もし海外、特に狂犬病の発症事例がある国で犬や猫、又は野生動物に噛まれた際はすぐに傷口を洗い消毒したのち、医療機関の施設にて診察してください。また、診察の際正式に狂犬病の疑いが出た場合はワクチン接種を受けることになります(暴露後ワクチン)。

 

暴露後ワクチンは数回にわたって受けることになり(ワクチンプログラム)、現地でプログラムを終了できなかった場合、帰国後に医療機関にて続行してください。なお、もし狂犬病の疑いがある中で、現地の医療機関に行けなかった場合は、帰国後速やかに保健所または医療施設にてワクチン接種を受けるようにしましょう。

 

また、狂犬病の発症事例がある国、特に東南アジア諸国に旅行の際は狂犬病予防ワクチン接種を事前に受けることが推奨されています。この場合も数回に分けて予防接種※1を受けますので、なるべく余裕をもって行動してください。

 

余談ではありますが、海外旅行に犬を連れて行く場合、もしくは犬を連れて帰ってきた場合は検疫所にて検疫を行ってください。

 

※1厚生労働省では3回、WHOでは少なくとも2回の接種が推奨されています。

4狂犬病は死に至る感染症、ワクチン接種は怠らずに

狂犬病は恐ろしい感染症で、一度発症してしまったら基本的に対処法はありません。また潜伏期間は数カ月ほどですが、過去の事例では1〜2年後に発症した例もあります。特に海外に旅行した際は細心の注意を払って行動しましょう。

 

今回の記事で狂犬病の恐ろしさと予防接種の重要性が分かっていただけたでしょうか?私達が安全に犬を飼えているのは、一重に皆様が狂犬病予防法をちゃんと守ってくれているからです。今後も日本が狂犬病の脅威に脅かされないよう、しっかりと予防接種を受けさせましょう。