ペットのためにすぐできる防災意識と役立つ知識

ペットの防災 コラム

災害が起こった時、ペットに対して飼い主様はどういう対応をしたら良いのでしょうか?

人間に対する避難訓練は学校やイベントで日常的に行われていますが、ペットの防災知識関係は思った以上に浸透していません。特にペットを飼ったことのない人はわざわざペットのための防災訓練に参加する意味がないため、大々的に行うのは中々難しいのが現状です。

 

飼い主様にとってペットは身近ですが、飼い主様以外の人には身近なものではないですし、動物が嫌いな人だっています。災害時には色々な人がいることを前提に様々な状況に対応できる防災知識を身につけ、的確な判断を強いられる場面がたくさん出てきます。

 

今回はペットのための防災意識や想定される状況、災害時のための知識などをご紹介していきます。

1ペットの防災意識の重要性

ペットの防災意識

これは我々にも当てはまりますが、実際に災害を経験していないと災害意識というものを軽視しがちです。今まで身の回りで起きていない状況を的確にシミュレーションしろという方が無理な話ですし、ある種当然かもしれません。

 

ここではそんな意識を少しでも変えるために、防災意識の重要性について解説します。

1.1災害は想像以上に身近にある

土砂崩れや津波、火災など災害が起きることは決して珍しい話ではありません。特にここ数年は1年毎に記録的とも言える大災害が連続して続いており、抜粋するだけでも

 

・2016年の熊本地震(死者55名、負傷者1814名)

・2017年の北九州北部豪雨(死者37名、行方不明者4名)

・2018年の平成30年7月豪雨(死者224名、行方不明者8名、負傷者459名)

・2019年の令和元年東日本台風(死者105名、負傷者375名、行方不明者3名)

・同年の令和元年房総半島台風(死者9名、負傷者160名)

 

とこれだけの大被害が起きています。小規模、中規模の災害も含めれば更に膨大な数となるでしょう。

1.1すべてのペットが避難所に入れるわけではない

近年は犬猫等のメジャーなペット以外にも爬虫類などのペットを飼っている方々も増えていますが、その全てが避難所への同行を許可されているわけではありません。また、同行避難が許可されている動物の種類は自治体によっても変わるため、「〇〇県では同行可能だったのに△△県では許可されていなかった」という事態が起こる可能性もあります。

 

同行可能な種類やその数は年々会議などで増加傾向ではあるものの、周りの人間に危害を加えかねないなどのリスクがある動物は許可されないこともあります。また、たとえ犬や猫であってもしつけがちゃんとされていない場合は、条件付きでの同行やそもそも同行が許可されない場合もありえます。

1.3人間第一の上でペットの安全を考える

飼い主様には残酷かもしれませんが、災害時における最優先事項は【人命救助及びその身の安全確保】であり、必ずしもペットが満足できるような環境とは限りません。例えば、同行避難したとしても犬や猫は別のスペースに誘導されたり(盲導犬など一部例外あり)、ペット用の物資の有無などがそれに該当します。

 

また、飼い主様の意識が足りないが故に起きた問題や、動物アレルギーの人がいたが故の問題が起きたことも多々ありました。東日本大震災時には

 

・災害初期はペット用物資を積んだ車が緊急車両と認められず、支給が遅れた

・同行避難の意識が浸透されておらず、ペットを置いて避難する飼い主が続出した。またこの影響で災害後はその後の処理に各自治体が苦慮した

・災害後の自治体によるアンケートでは鳴き声やペットの放置による移動など、飼い主によるしつけ不足および飼育マナーの欠如による不満が多かった

 

などの問題が見受けられました。もちろん今はその多くが解決されてきてはいますが、全てではありません。ペットのためのしつけと、自分の身の安全の両立こそが飼い主様に求められているのです。

2災害時にペットの身に起こること

災害というのは非日常の連続、特に怪我や病気から守られ大切に育てられたペットほどパニックに陥ります。もちろん飼い主様も平常ではいられないでしょうが、それでも最適な行動を取る・取らせることができるのは飼い主様だけです。

 

ここでは災害時にペットの身に起こるであろう行動や状況について解説します。

2.1恐怖による異常行動

動物というのは本来、繊細な生き物です。如何に屈強な動物であっても、それ以上に強大な力には恐怖し、パニックになります。力の頂点ともいえる災害時には、おそらく大抵のペットは極度の緊張状態になっていることでしょう。そうなると最も恐ろしいのは恐怖による異常行動、特に攻撃行動による周囲への影響です。

 

避難所には大勢の人間が避難していますし、他のペットもいます。恐怖によって所構わず噛み付いたり、吠えるなどの問題行動を起こせば、最悪避難所から追い出されるかケースの中に強制収容されることもあります。そうなればますますペットはパニックになり、より危険な行動をするなど悪循環になってしまいます。

 

恐怖によるパニックを抑える一番の特効薬は飼い主が落ち着くこと、そして最大の予防は日々のしつけや訓練です。最低限【まて】【おいで】など待機状態と飼い主についていく状態を素早く切り替えられるようなしつけは覚えさせましょう。

2.2支給品不足による空腹やストレス

大災害時には人間にすら満足な支給が行き届かないこともざらにありますが、当然ペットへの支給品が不足するようなケースも出てきます。もしペット用の備蓄品を飼い主が用意できていないのなら、ペットの空腹や過大なストレスは避けられないでしょう。そうなれば問題行動や体調不良を招くことになります。

 

そうならないよう、ペット用の備蓄品は常に確保しておき、緊急時にすぐに持っていけるようにしましょう。特に食料(フード)と水は最低でも5日、可能なら1週間分以上は欲しいところです。その他の各種備蓄品はこの後で紹介しますが、ひとまず生き延びられる量は確保することが絶対です。

2.3怪我や病気のリスク

避難所や動物救護施設では、常にペットの怪我や病気になることを想定しなければいけません。というのも、避難時点でペットの免疫力は低下していますし、各場所には他のペットも大勢います。そうなると感染症やダニ、怪我のリスクは自然と高まります。

 

怪我はともかく現地での対応こそが肝要ですが、病気に関しては日々の健康管理によって防ぐことができます。予防接種やノミやダニの駆除は定期的に行い、健康診断も忘れずに行きましょう。

 

また怪我や病気とは異なりますが、現地での無用な繁殖を抑えるための去勢手術や不妊手術も実施しておきましょう。たとえ繁殖行為を防げたとしても、性的衝動によるストレスによる問題行動を招きかねません。

3ペットのための防災知識

ペットのための防災知識

ここまで防災意識やペットの身に起こるであろうことについて解説してきました。これらも立派な知識ですが、実際に使える知識というよりは心構えのような内容です。

 

ここからはより本格的な、ペットのために使える防災知識について解説します。

3.1防災グッズや備蓄品

先程、1週間分以上の食料と水は確保しておきたいと解説しましたが、それ以外でも災害時に役に立つ防災グッズや備蓄品は色々ありますので、筆者が必需品だと判断した物をいくつか紹介していきます。

 

・ペット用のキャリーバック

背負うタイプで外が見えたり顔を出せる構造をしているバックのこと。ペットが常に歩けるとは限りませんし、はぐれないようにするためにも用意しておきたいです。

 

・ケージに使用するガムテームや南京錠

ペット用のケージが必要不可欠なのはもちろんですが、ペットがなんらかの衝撃でケースから出ないような工夫が必要です。またガムテープは脱出予防の他、緊急時のケージ修復用にも使用できます。

 

・トイレ用品

ペットが使い慣れたトイレを使用することで、あちこちに粗相する可能性を減らせます。

 

・予備のリードや首輪

リードは伸びない物を用意してください。

 

・排泄物などをきれいにする掃除用具

・食器

・その他ブラシ等のケア用品

3.2いざという時のしつけ

災害時はふだん行かないような場所や馴染みのない避難所にて生活することになりますが、そのような状況下に置いても飼い主の言うことを素直に聞けるように日々のしつけを忘れないようにしましょう。特に必要なしつけは下記にまとめておきます。

 

・待て、おいでなどの行動に関するしつけ

・ケージに素直に入れるようにする

・他の動物や人を怖がらない、または吠えたり噛み付いたりしないようにする

・決められた場所に排泄するようにする

 

これらのしつけはペットや飼い主様の身の安全を確保するためと周囲に対する配慮のために必要不可欠なものです。特にはぐれるようなことや周囲に攻撃するようなことは絶対にさせないでください。

3.3ペットの情報が記載されたノートや迷子札

ペットがはぐれないように注意するのは当然ですが、それでも迷子になる危険性がゼロではありません。もしはぐれて他の人に見つかったとしてもすぐに飼い主を探してくれるように、迷子札を付けておきましょう。迷子札には連絡先やペットの名前が記載できます。

 

また飼い主側もすぐに周りの人に協力を要請できるよう、名前や写真などのペットの情報が細かく記載されたノートやメモを作成しておきましょう。

 

また、マイクロチップの装着によりAIPOに登録できます。AIPOは飼い主様とペットのデータを登録するデータベースのようなもので、これに登録しなければマイクロチップはただの15桁の数列でしかありませんのでご注意ください。

4防災意識は決して無駄なものではありません

日本は致命的な災害が他国と比較してそう多くはないせいか、防災知識はかなり低い方です。実際、様々な企業の防災意識アンケートでも【家族で災害時の取り決めがある】【もしもの時の備蓄品を用意してある】【自宅外への避難に対する対策がある】などの項目ではいずれも好ましくない結果が出ています。

 

災害というものは起きてから対策できるものはそう多くはありません。常に状況が変化し、事前知識も無く最善策を現場で見つけることが非常に困難だからです。実際、上述したように東日本大震災時はそういった防災意識の低さが原因で被害が拡大した一面も少なからずあります。

 

今後、いつ災害がやってきても自分や家族そしてペットを危険から守れるように、しっかりとした知識と防災意識を持ちましょう。