老犬が夜泣きしてしまう時の原因と対処法

老犬の夜泣きの原因と対処法 コラム

夜泣きは通常、犬が1歳になるまでとお年寄りになった時が最も激しくなります。かといって、「まだ幼いから」「もう年だから」と放置していると、病気の前兆だったものを見逃したり、ご近所トラブルに発展する恐れがあります。なにより、飼い主様自身のストレスになりかねません。

 

今回は老犬の夜泣きに焦点を当てて、夜泣きの原因と対処法、周囲への配慮の仕方や飼い主様の心のケアについてお話していきます。どうか年齢によるものだと諦めずに、しっかりと向き合ってあげてくださいね。

1 どうして老犬になったら夜泣きするのか

なぜ老犬は夜泣きするのか

そもそも夜泣きとは、犬にとっては感情表現の一つに過ぎず決して珍しいことではありません。突き詰めれば、昼に飼い主様に要求していることをそのまま夜も要求しているだけなのです。

 

夜泣きは空腹への訴えや不安、ストレスの解消など飼い主様に対する要求が行動として現れたもの。単に注意したり叱るだけでは効果がありませんし、感情のコントロールが難しい老犬には返ってストレスの要因となります。その結果、夜泣きが酷くなったり飼い主に反抗したりするなど、むしろ逆効果にしかなりません。

 

夜泣きは犬が不満だから、飼い主にとってもストレスが溜まってしまうなど双方にとって良い状態ではありません。夜泣きの原因を探し出し、対処することこそが改善に繋がります。老犬になって感情の起伏が激しくなったとはいえ、要求がなければすやすや寝るものです。年だからと放置せず、適切に対処していきましょう。

2 老犬が夜泣きしてしまう主な原因

夜泣きの原因は様々で、決して一貫性のあるものではありません。単に寂しさから来ているのか、何らかの病気なのか、もしくは両方なのかを理解してあげられない限りは解決できません。その上、『夜泣きはとりあえずこれでなんとかなる』と言えるような万能かつ即効性のある解決方法というものもありません。

 

しっかりと原因を見つけ出し、愛犬に合った解決方法を見出す必要があります。

ここでは、その第一歩として夜泣きをする主な原因について取り上げていきます。これを参考に自分の犬がどれに当てはまるのか考えていきましょう。

2.1 認知症

認知症はしばしば、老化による行動変化と混濁されますが、あくまで別物です。認知症は脳の記憶機能不全によって起こる症状であり、記憶力の低下や現在行動している目的を忘れるなどの症状があります。加齢による行動力の低下や身体能力の低下とは根本的に異なることを覚えておきましょう。

 

さて本題ですが、認知症にかかった犬は生活が昼夜逆転してしまうケースが非常に多いです。日中はほとんど寝て、夜中に眠れないため脳が昼と夜の基準を判断できず、昼間と同じように飼い主に対して要求してしまうのです。これが認知症における夜泣きの原因です。

 

認知症の症状は夜泣き以外でも、粗相が多くなる、親しい人でも初対面のように警戒する、同じところをぐるぐる回るなどが挙げられます。このような点も同時に見受けられる場合は認知症の可能性を考慮しておきましょう。

 

なお、認知症自体は年齢問わず発症してしまうリスクがありますが、一般的には7歳以降から症状が出始めることが多いです。

2.2 痛みによるもの

犬も人間同様、加齢によって筋肉量が低下したり体の節々が痛くなってきたりします。特に関節は刺激となりやすく、寝ている時の些細な動きなどで痛み、それによって吠えてしまうケースがあります。それ以外でも、慢性的な痛みを抱えている老犬は昼間は我慢できても、ぐっすり寝ることができず、それがストレスになって夜泣きしてしまうことも考えられます。

 

また厳密には痛みとは関係ありませんが、日中に身体を全然動かせていない場合、筋肉がほぐれておらず、それが原因で眠れなくなって夜泣きするパターンもあるようです。

2.3 不安によるもの

老犬の夜泣きは、認知症以外では不安から夜泣きする場合が非常に多いと言われています。これは加齢によって視力や聴力といった五感が機能しづらくなり、飼い主を認識できず不安になって夜泣きしてしまうため。

 

日中であれば飼い主も生活のために動くので、犬も飼い主の気配を感じ取れますが、夜は静かに過ごしたり就寝するため飼い主の存在を確認できないのです。

 

また不安によるもの以外では、例えば自分の思う通りの体勢で寝れず、かといって自分だけでは動けない場合も、飼い主に助けを求めるために吠えてしまうケースもあります。

2.4 その他の要因によるもの

犬も人間も、お年寄りになるにつれて生活そのものが大きく変化します。認知症や痛み、不安によるもの以外でも、日中の生活によっては夜泣きしてしまいます。

軽く例を挙げるだけでも、

 

・夜ご飯のタイミングや食事スピードなどによっては深夜にお腹が空いてしまい、飼い主にご飯をねだる。

・夜中にトイレに行きたくなったけど、暗かったり身体が重かったりして自分だけではトイレに行けないとき。またはトイレが汚い時。

・深夜に活動する人々の車の音や、風の音が騒がしい時。この場合は、目には見えないのに音だけ聞こえる状況なため特に過敏に反応してしまいます。

 

とこれだけの要因が出てきます。これ以外でも、愛犬や自分の家の環境ならではの問題などが原因で夜泣きする場合もあるため、一日の活動や外の動きを観察してみることも大切です。

3 老犬の夜泣きの対処法

夜泣きの原因は分かりましたか?

 

飼い主様にとっては何気ない行動やお世話でも、繊細な犬にとっては今後の生活に大きく関わってきます。老犬の定義もおよその目安はあるとはいえ、生物的な基準でしかありません。愛犬の細かな変化を察して、その都度対処していくよう心がけましょう。

 

ではここからは、原因ごとの対処法について解説していきます。

3.1 認知症による夜泣きの場合

認知症が原因で夜泣きしているのは、昼夜逆転した生活による体内時計や自律神経の乱れによるものが原因です。無理をさせない程度に昼間活動させてあげることで、陽の光を浴びてこの乱れを元通りにさせる必要があります。

 

日中、必要以上にぐっすりと寝ている場合はちょっと可愛そうですが起こしてあげましょう。ただ起こすだけでは寝ぼけながら生活してしまったり、そのまま二度寝してしまうことがあります。おもちゃで遊んだり散歩に出かけたりなど、積極的に犬とのスキンシップを図っていきましょう。

 

あまりにも認知症の症状が深刻な場合はスマホなどで録画しておき、獣医師に相談してみましょう。認知症と判断された場合、必要に応じて睡眠薬や安定剤を処方してもらえます。

3.2 痛みによる夜泣きの場合

痛みによる夜泣きの場合は、獣医師に相談の上で細かな原因の究明と解決が必要です。まずは獣医師に夜泣きのこと、辛そうな声で吠えていることなど気になる点も含めて相談します。そのまま観察して経過を見る場合でも痛み止めをもらえますし、怪我や病気が酷いようであれば手術や投薬が必要になります。

 

犬の寝床にも配慮が必要です。体を動かした時にものが当たらないようにしたり、柔らかく肉厚なクッションに変えて関節に負担が掛からないようにしましょう。また、日中の犬の活動に支障がないように障害となりそうな家具を避けたり、トイレまでの距離を短くするなども効果的です。

3.3 不安による場合

飼い主様がいないと思って不安になっている場合は、日中のスキンシップや寝床を近くするなどの分かりやすい愛情表現が必要です。また、犬の寝床に飼い主の匂いがついているものを置くのも効果的でしょう。

 

また、夜泣きしているときは叱らず、撫でてあげたり、優しく声を掛けたりしてあげることが大切です。過度な要求ではなく、あくまで寂しいから泣いているという認識を忘れずに。ただし、飼い主様の負担になるようであれば獣医師に相談することも考慮しましょう。

3.4 その他の要因による場合

この見出しでは、先の老犬が夜泣きしてしまう原因で挙げた項目に対してそれぞれ簡単に対策を紹介していきます。一つの参考になれば幸いです。

 

ケース1 夜ご飯のタイミングや食事スピードによっては深夜にお腹が空いてしまい、飼い主にご飯をねだる。

対処法 適切な食事タイミングになるよう時間を調整する、深夜にお腹が空いた時用に軽めで低カロリーのおやつや軽食を用意しておく。

 

ケース2 夜中にトイレに行きたくなったけど、暗かったり身体が重かったりして自分だけではトイレに行けないとき。またはトイレが汚い時。

対処法 寝る前にトイレで排泄を促す。また、夜中におもらしが激しい場合はおむつを検討する。

 

ケース3 深夜に活動する人々の車の音や、風の音が騒がしい時。この場合は、目には見えないのに音だけ聞こえる状況なため特に過敏に反応してしまいます。

対処法 外からの騒音の場合は窓の防音性を高める。防音テープやフィルム、厚手のカーテンが有効です。

 

今回紹介したのはあくまで一例です。どうしても自分で対処できないものに関しては、獣医師に相談してみましょう。

 

4 周囲への配慮と飼い主様の負担について

夜泣きで最も難しい問題は、飼い主様と犬だけの問題ではないところです。あまり声量がない犬でも、深夜の静かな環境では響きます。そうなると、たとえ事情が分かっているご近所さんでも、どうしても迷惑だと思ってしまうことでしょう。

 

夜泣きがすぐに改善しない場合は、トラブル防止のためにもご近所さんに対する配慮が必要です。ここでは、飼い主様に行ってもらいたい周囲に対する配慮についてご説明していきます。

4.1 自宅で出来る防音対策

夜泣きが酷い場合は、ペット用の防音室の購入を検討しましょう。高価な物である必要はありません。愛犬が気に入ったケースに吸音材や防音壁を敷き詰めるだけでも効果が期待できます。また、防音テープやフィルム、厚手のカーテンで窓に防音対策を施すと外に音が漏れにくいです。

4.2 自治体やご近所さんへの報告相談

夜泣きが酷くなるまえに、ご近所さんに報告とお詫びをしておくと住民トラブル防止に繋がります。お詫びをする際は、もしうるさくなった場合の対策も一緒に報告しておくとご近所さんも安心できます。声をかけづらい、タイミングが合わないなどで報告できない場合は自治体や町内会に相談するのも手です。周辺の人たちに通知してくれるよう手配しましょう。

 

最もやってはならないのは、誰にも話さないでおくことです。近隣住民とのトラブルになった際、報告相談をしていないと、ご近所さんも嫌な思いをしてしまいますし、第三者に相談する時も飼い主様が不利になります。

 

なにより、双方にとってプラスになることがないのです。お互いのためにも、必ず相談しておきましょう。

5 飼い主様の心のケアについて

飼い主様の心のケアも

ここまで老犬や近隣住民についてお話してきましたが、飼い主様の負担も重要なことです。夜泣きが続いてしまうと、飼い主様も不眠になってしまいますし、ご近所さんへの罪悪感に苛まれてしまうことでしょう。なにより、獣医師に相談したその日に夜泣きが治ることは滅多にありません。

 

もし飼い主様の心がお辛い場合はデイケアや老犬ホームに任せることも視野に入れましょう。もちろん、ご自身で問題を解決して愛犬ともずっと一緒に過ごせるようになるのが一番ではありますが、そのために飼い主様が体調を崩してしまっては本末転倒です。なにより、愛犬もそんなことは望んでいないでしょう。

 

デイケアや老犬ホームも、一生預けなければいけないわけではありません。夜泣きが改善するまでや、少し落ち着きたい時だけ預けることもできます。愛犬第一ではなく、愛犬とご自身両方にとって最適なのはどれなのかを考えていただければ、結果としてそれが愛犬のためにもなります。

 

6 夜泣きの理由を知って、飼い主様の負担も軽く

夜泣きはたしかに老犬がよくやる行為ですが、行為をする意味がちゃんと存在します。なぜ泣くのか、どうしたらそれを解決できるのかを考えなければずっと泣き続けることも考えられます。

 

夜泣きは飼い主様への要求です。そして、夜泣きは飼い主様にとっても負担になってしまいます。つまり、放置しても愛犬や飼い主様にはデメリットでしかないのです。今回の記事を参考に、自分のペットがどんな理由で夜泣きしているのか、どうやったら解消できるのかを考えてみましょう。