ペットのお骨を分骨するのはよくないことなのか

コラム

ペットの遺骨を埋葬や納骨はしたいけれど、それとは別に分骨して手元に置いておきたい…それはペットと常に一緒にいたい飼い主が持つごく自然の考え方です。また、一緒にいたい以外でも、引っ越しなどの事情でお墓参りが難しくなったなどの事情で後から分骨を望む人もいます。

しかし、中には「噂では分骨は良くないって聞いた」とか「分骨のタイミングが分からない」という理由で分骨するのを躊躇っている人もいるかと思います。また、よくある勘違いなのですが、「火葬した直後しか分骨できない」と思っている人もいると聞きます。

そこで今回は、『分骨はしても良いのか』『分骨の仕方とタイミング』『遺骨を入れる容器について』の三つのテーマに分けて解説していきます。

ペットのお骨を分骨したらよくないってホント?

それではまず一つ目のテーマである『分骨はしても良いのか』についてお話していきます。ここでは主に、『そもそも分骨って何?』『分骨は縁起が悪いのか』を軸にして解説します。

特に、お骨に対する意識の違いから分骨に対して良くないイメージを持つ人は一定数いますし、ご両親や身内の人と考えのすれ違いが起きてしまう事もあるようです。このテーマではそういった意識の違いや分骨の知識などを、宗教や歴史の視点から見ていきましょう。

そもそも分骨とは

分骨は簡潔に言えば『一つの遺骨を二つ以上に分けること』を指します。分骨自体の歴史は古く、元は仏教草創期にまで遡ると言われていますが、現代の需要と合っていることから今でも分骨を行う人が多いです。

分骨を行う理由は、主に下記の三つあると言われています。

・亡くなった人物(ペット)の死を悲しみ、その徳を偲んで、生きた証である遺骨の一部をできるだけ身近に納めてまつるため

・仏教徒である自分の遺骨を、仏や聖者と共にまつってほしいから

・その他宗教とは関係ない個別の願いから

ペットの場合、特に一つ目の理由から分骨を行う事が多いでしょう。また、分骨そのものは仏教の考えですが、宗教に囚われず、純粋に一緒にいたいという理由で分骨を行う事も問題ありません。起源はあくまで起源。ペットには宗教に関するルールが適用されないため、仏教徒ではない、無宗教の人でも分骨している人は大勢います。

あくまで知識として覚えておくだけで結構です。

分骨は縁起が悪いは根拠のない俗説

分骨について調べていくと、どうやら『分骨は体を分けてしまって天国に五体満足で行けない』という迷信が一部では伝わっているようです。これはまったく根拠のない俗説であり、宗教的にも歴史的もそのような説は見当たりません。

起源である仏教では先程言ったように草創期から存在しますし、その他の宗教ですと、キリスト教では宗派の一つであるカトリック教会が、イエス・キリストや聖母マリアなどの聖人の遺骨の一部を聖遺物として信仰の対象にしています。

恐らくは『体をバラバラにする事への抵抗感』からなる俗説なのでしょうが、そもそも身も蓋もない話をするとこの考えは無理があります。なぜなら、火葬する時点で一部のお骨は回収不可になるほど細かな灰となってしまうので、もし本当に『完全な状態でなくてはならない』のなら、火葬する時点で前提条件が崩れてしまうからです。

それに、あまり宗教について詳しくない人は驚かれるかもしれませんが、元より仏教ではお骨はそこまで特別視していません。もちろん、仏陀のような特別な存在のお骨は例外ですが、基本的にお骨も含めた遺体は『魂を入れていた抜け殻』として扱われます。魂そのものは浄土にいると考えられていますから。

そもそも、仏教が生まれたインドではガンジス川に遺体を投げていますし、日本でも昔は遺体を河川などに捨てていました。輪廻転生が基本である仏教において、肉体は魂の入れ物であり、それ以上でもそれ以下でもなかったのです。

それにこんな俗説が真実なら、事故や障がいなどで身体の一部が欠損している人や動物は幸せにはなれないということになります。それはいくらなんでも酷すぎますし、もしこれを信じてしまって落ち込んでいる人がいるならばと思うと怒りすら覚えます。

また、この俗説に限らず、『〜することは縁起が悪い』という説の中には、少なからず宗教や歴史の中には存在しない俗説が紛れ込んでいます。いったいなぜこのような俗説が広まったのでしょうか?

科学が発展した現代日本ではやや信じ難いですが、古くより日本では霊障や祟りに敏感でした。妖怪や幽霊、身の回りの不幸はこの世ならざる者の仕業として扱われていたのです。

そんな日本ですから、大人たちの中にはこのような俗説を信じ込んでしまう人がいるのも、ある意味では仕方ないのかもしれません。ただし、分骨したからといって霊障にあうなんて事はありえませんし、亡くなったペットを偲んで大切に供養した飼い主を祟るなんて事もないでしょう。

分骨を含めて、供養する時に一番大切なのは亡くなった故人に対する想いです。どうか安心して分骨してください。

ペットのお骨を分骨をする際に必要な知識と注意点

前項では分骨そのものの知識と俗説に対する反証をお話しました。とは言っても、実際に分骨する際はどうやったら良いのか分からないという理由で分骨を躊躇ってしまう人もいるでしょう。

ここでは『分骨の仕方とタイミング』をテーマに、『分骨のタイミング』『分骨する際の骨の部位』『分骨する際の注意点』を軸に詳しく見ていきます。

分骨をするタイミング

分骨について調べていくと、『火葬して収骨する際が適切』と書いているサイトが多くヒットします。確かにこれは事実ですが、あくまで一番スムーズなのは収骨する時というだけであって、『分骨できるタイミング』自体には特に決まりはありません。四十九日を過ぎた時やお彼岸など好きなタイミングで納骨堂やお墓に納めてある遺骨を取り出して分骨する事ができます。

ではなぜ収骨する時が最も適切なのかと言いますと、納骨した後では下記のような問題点が生じるためです。

・一度お骨を骨壷にまとめているため、希望の骨の部位を探すのが困難

・納骨堂やお墓の管理者に頼んで遺骨を取り出してもらうため、手間と費用がかかってしまう

また、手元供養した場合は好きなタイミングで分骨できますが、一度入れた遺骨を再度取り出すのは少なからず勇気がいる行為です。そのような事もあって、分骨は収骨の時が適切と言われているのでしょう。また、合祀など他の遺骨と混ざる場合や散骨した後などは当然分骨するのは不可能です。

もし火葬(収骨)するまでに分骨用の容器を用意できない場合は、一時的に保管するためのジップロックなどの密閉できる袋を用意するだけでもOKです。大切なペットが亡くなった時は誰しもが悲しみのあまり余裕が無くなるもの、分骨とは言わず袋にだけ入れておいて、落ち着いてから分骨することをおすすめします。

分骨する際はどの骨の部位が良いのか

いざ分骨しようにも、適当なお骨を選ぶ…なんて事はしたくはないですよね。ただ、『分骨する際はこの部位でなくてはならない』なんてルールはありません。仏教においては喉仏は座禅を組んでいる仏様のようだと特別視されており、分骨する際は喉仏を選ぶ人が多いです。

それ以外でも、「きれいな爪が印象的だった」「よく動く尻尾が愛らしかった」などの理由から、思い出深い部位を選ぶこともあります。あくまで参考程度に留めておいて、ご自身が「これだ」と思える部位を選びましょう。

分骨する際は決して素手では触らない

分骨するにあたって、唯一注意すべきなのは『決して素手では触らない』こと。手についた汗などの水分が骨に付着するとカビや汚れの原因になります。お骨を持つ時は、きれいな箸を使用するか、手袋をして優しくつかみましょう。

ペットのお骨を分骨した際に入れる容器

ペットのお骨を分骨するということは、骨壺とは別にもう一つ容器を用意するということ。しかし、普通の骨壺を用意してしまうと明らかにサイズが大きいです。また、分骨用の容器には普通の骨壺のほかに、アクセサリーなどのおしゃれな容器も沢山あります。

ここでは『骨壺を入れる容器について』をテーマに、『骨壺を選ぶポイント』『骨壺の種類』を軸に解説していきます。

容器を選ぶ際のポイント

分骨したお骨を入れる容器ですが、基本的には通常の骨壷と同じように探せば問題ありません。湿気が入らず密封されていること、錆びないこと、万が一に備えて衝撃に強いこと、この三つさえ抑えておけば大丈夫。ただし、サイズだけはかなり小さい(骨壷で200ml程度)タイプになります。

分骨用の容器の種類

分骨用の容器の中には、手元供養を前提にアクセサリータイプやカプセルタイプなどもあります。小さな仏壇を作ってちゃんと祀りたい人は骨壷を、いつも持ち歩きたい人はアクセサリータイプやカプセルタイプを選ぶことになるでしょう。

また、アクセサリータイプではネックレス型のものが主流となっています。ハート型のものやシンプルなカプセル型のものまであるので、飼い主の好みやペットを彷彿とさせるものを選んであげましょう。

ペットの骨を分骨するのはよくないことというのは全くのウソ

今回は『ペットのお骨は分骨して良いのか』というテーマについて解説してきました。結論として、分骨はしても良いですし、それによって何か良くないことが起きるなんてものは俗説であり気にする必要はありません。

今回のお話もそうですが、大切なペットを尊重したいあまり根も葉もない俗説に心を惑わされる人は決して少なくありません。また、それによって傷つく人も多いでしょう。

しかし、大切なのはあくまで飼い主として、家族として亡くなったペットの死を悲しみ、偲ぶ心です。先程も書きましたが、合祀したり散骨してからでは遅いです。周りの意見に惑わされる事なく、自分とペットにとって最も重視することはなんなのか、今回の記事で自分なりの考えを持てたなら幸いです。