大切なペットを看取る時に覚悟すること、やるべきこと

コラム

飼い主であれば、いつかペットを看取る覚悟をしなければいけない時がやってきます。

人間も含めて、動物とは生きて死んでいく生き物です。ペットを飼っているのであれば必ずお別れをしなければいけない瞬間は訪れますが、その際にしっかりとした対応をしておけばペットも安らかに旅立てるでしょう。

それに、見送るより前の終末期の介護も正しい方法で行えば、お別れの直前までペットも安心して過ごせます。

しかし、事前に対応方法を知らなければいざとう時にパニックになってしまい、飼い主にとって後悔に繋がりかねないお別れをしてしまうかもしれません。

今回はそんなことにならないように、終末期→看取る直前→看取った後の3段階に分けてどんな対応をしておけば良いのかをご説明していきます。

ペットを看取る覚悟と意味

そもそもペットを看取るとはどういう意味でしょうか。もちろん、ペットが亡くなる時ということはご存知かと思いますが、それだけではありません。

お別れの理由やそれまでの兆候はもちろん、最後を迎えるペットに対する心構えなどを含めた「ペットとの最後の時を迎える」という行為そのものこそ看取るという意味ではないでしょうか?

そしてこのことについて知っておくのは、たとえペットを飼った瞬間でさえ早すぎるときことはありません。「まだ先のこと」ではなく、「いずれ来る未来のこと」として受け止めた上で、限りある命を愛することが大切です。まずはそのあたりについて見ていきましょう。

ペットとのお別れの理由

まず、ペットとのお別れの理由について。様々なデータや資料がありますが、その中でも共通しているのはやはり「ガンや心疾患」がほとんどだということ、そしておそらく皆さんが望んでいるであろう老衰は決して高い数字ではないということです。

特に飼っている人が多いペットでは、犬は悪性腫瘍、猫は腎不全が明らかに高い数字を出しています。

とはいえ、実はこの情報だけを見て悲観するものではありません。そもそも、それらの病気のほとんどは高齢になった時、つまり天寿を全うする時のケースが多いです。さらに近年では医療技術の発展により確実に寿命が伸びているという嬉しい情報もあります。

我々人間ですら、高齢者の死亡理由の多くは悪性腫瘍や心疾患ですが、それでも必死に生きて後悔なく旅立つ努力をしています。それを、ただ「病気で亡くなってしまった」とひと括りにしてはいけないということだけ忘れないでください。

そしてそれはペットでも同じことなのです。

終末期とは?

ペットとのお別れについて学ぼうとした時、必ずといって良いほどよく出てくる「終末期」というフレーズ。これは具体的な定義はされていませんが、一般的に老衰や病気、ケガなどで明らかに死に至るケースだと判明され、予定される余命が3〜6ヶ月程度の場合の期間のことを指します。

また、終末期は延命や回復が不可能なため、人生の質を上げる(QOL)ことを最優先に行うための介護や医療を終末期医療(ターミナルケア)と言います。

分かりやすく言えば、「もう長くないだろう」と明らかに分かる状態ということ。ペットの場合、およその寿命が判明していることや病気によるお別れが多いこともあって終末期が判明することは珍しくありません。

ペットを飼っている飼い主にとって、最も辛いとも言われる期間ですが、同時に終末期を如何に見送るかでペットが満足して旅立てるかどうかが決まります。悲しいですが、ペットのためにもしっかりとした終末期医療を心がけましょう。

大切なのはペットのために何が出来るか

愛するペットの命が残りわずかだっと知って動揺しない飼い主はいないでしょう、もしかしたらパニックになったり、どうしたら良いか分からなくなったりすることだってあるかもしれません。そんな時は落ち着いて、まず自分がどうしたいかについて考えることが大切です。

冷静に自分を見つめた時、きっと「ペットには幸せな気持ちで旅立って欲しい」と願うはず、そしてそのためにどう行動すべきかについて調べたり誰かに相談したりするかと思います。大切なのは、ペットのことを考える自分自身をちゃんと見つめることです。

懐く懐かないの違いはあれど、ペットというものは一緒の家に住んでいる人間を仲間として認識しています。そんな仲間がパニックになったり困惑していたりすると、その不安はペットにも移ってしまいますし、そんな状態では人生の質を向上させることなんて出来ません。

自分がペットのために何が出来るか、まずは冷静にそのことのみについて考え、ペットを思いやる気持ちを忘れないことが第一です。

ペットを看取る直前までのお世話の方法

病気にせよ老衰にせよ、突発的な兆候というのは極めて稀です。殆どの場合は、身体機能の衰えや情緒不安定になるなど、なんらかの障害および異常がゆるやかに発生します。特に、高齢期に入るとそれこそ病気にかかりやすくなったり、老衰の兆候が見え始めたりします。

そこでなにより重要なのは、肉体面と精神面のケアです。さきほど解説したターミナルケアとも言いますが、晩年における生活の充実度向上はペットの幸せを願う飼い主にとって最優先事項と言い切ってもよいぐらいです。

ここでは肉体面、精神面、そして病院に行くケースの3項目に分けてそれぞれ詳しく解説していきます。またここでは、高齢期を想定して解説していきます。

肉体面でのケア

高齢期に入ったペットは、肉体面では一般的に次のような兆候が見られます。

1,筋肉が衰え、足腰が弱くなる
2,食欲減退
3,視覚や聴覚など五感が鈍くなる

これらの兆候を含めた総合的なケア方法は主に、「適度な運動」「食事のサポート」「怪我防止」の3つになります。

まず「適度な運動」についてですが、例えば犬では散歩、猫では猫じゃらしなどのおもちゃが該当します。運動面で注意していただきたいのは、ペットの体調と周りの環境です。

運動している時に少しでも具合が悪そうにしていたら、休憩したり中断すること。外出の場合は気温や湿度、室内の場合は身の回りの家具に配慮しましょう。

食事面では、食欲減退や味覚の鈍化、歯や顎が弱くなるなどの理由で、それまで食べていたご飯が食べられなくなります。その場合はペットによってはシニア用のペットフードがありますので、そちらを購入するようにしましょう。

また、もしシニア用がない場合はふやかすなどして、食べやすいように手を加えるだけでも効果があります。他にも、足腰が弱っていますので、食事する時はお皿をペットが食べやすいところに配置するなどのサポートも大切です。

最後に怪我防止ですが、これは五感が鈍くなっている都合上、今まで避けていた家具にもぶつかり怪我をしてしまう危険があるためです。家具はなるべく密集させないようにし、テーブルの足など角があるものについてはクッションになるものを置いておきましょう。

精神面でのケア

高齢期に入ったペットは、感情のコントロールが難しくなってきます。また、
五感が鈍くなっているため、音や影を怖がるようになります。

このため、精神面でのケアとしては、「ペットが安心して過ごせる環境づくり」をいままでとは別のアプローチで整えることが必要になってきます。

たとえば、窓から差し込む影におびえている場合はカーテンなどで見えなくしたり、ペットと接触する際は突然触れるのではなく音などで自分が近くにいることを知らせたりすること。とにかく、ストレスを感じさせないことを意識すると、ペットも安心して暮らせます。

動物病院に行くべきケース

通常、ペットに異常が発生した時はすぐに動物病院に行くべきですが、高齢期に入ってもそれは変わりません。ただし、今まで以上に注意しなければいけません。そもそも、実は高齢期に入ったペットを病院につれて行けなかったというケースは非常に多いです。

それはなぜか、簡単に言えば「気づかなかった」ことが原因であることが多いです。そんなまさかと思うかもしれません。しかし、高齢期に入ったペットは睡眠時間が激増しますが、一方で体調不良の時もほぼ寝たきりになります。

つまり、もし体調不良で寝ていても飼い主からは「また寝ている」と思われていたという状況が起こり得るということ。対策としては、やはり定期的な健康診断こそが最良です。高齢期に入ったらおよそ半年に一回のペースで検査してもらいましょう。

定期診断以外でも、「呼吸が速い」「口内環境に異変が起きている」など少しでも違和感があった場合は動物病院に通うことをおすすめします。

ペットを看取る時にしておくこと

いよいよペットとのお別れが近づいてきた時、飼い主にできることは限られていますがそれでもやっておくべき大切なことは色々あります。長年付き添ってきた家族として、最後の責務を全うする気持ちで考えておきましょう。

看取るべき場所を選ぶ

近年、高寿命化や飼い主の考え方の変化によって、病院ではなく自宅で看取りたいという方も増えています。病院と一言で言っても最後の最後まで闘病するか、鎮静剤などで痛みを和らげながらお別れするか、それとも助からない状況になったその時に安楽死させるかなど様々です。

ご自宅であっても、簡易的な処置は色々ありますし、どれが最善なのかまではだれにも分かりません。大切なのは「自分とペットのために何が出来るか」です。

そういった意味では先程ちらっとだけ話題にした安楽死でさえ、考え抜いた上での決断であれば誰にも意見する権利はありません。費用、ペットの気持ちや体調、飼い主の気持ちや今後の見通し、考慮すべき要素はたくさんあります。

どうか目先の感情だけでなく、現実的にもちゃんと考慮した上で、自分とペットだけの最善の選択を導き出してください。

なるべく一緒にいる

ペットにとって、飼い主は最も愛する大切な友人であり家族であり相棒です。そんな無二の存在が傍にいるだけでペットは安心しますし、触れられているだけで心は休まれます。

これは人間にも言えることですが、いわゆる集団や社会の中で生活してきた生物にとって、今際の際に最も恐ろしいのは「孤独感」だと言われています。普段から孤独とは無縁の生活を送ってきた動物にとって、誰かが傍にいないまま死んでいくのはなによりも耐え難い恐怖なのでしょう。

もちろん、お仕事や急な用事などでどうしても傍にいられない状態になることもあるでしょう。しかし、もしほんの少しでも時間が確保できるのであれば、ぜひペットの近くで悲しんであげてください。それがペットにとって最高の手向けになるはずです。

ペットを看取った後にやるべきこと

ペットの旅立ちを見送ったあと、つらくてもやるべき事はまだあります。魂は天国に旅立っても、肉体はまだその場に留まっています。肉体もちゃんとした方法で供養してこそ、ペットは本当の意味で旅立つことが出来るのです。

看取った後にやるべきことについて解説していきます。

火葬、埋葬の方法を調べておく

一口に葬儀、埋葬と言っても様々です。例えば葬儀であれば、弊社のように訪問ペット火葬の他、霊園での火葬や市による火葬があります。埋葬であれば、自然葬や納骨などそれこそ多岐にわたります。

飼い主を含めたご家族様の事情に合わせた方法を調べておくと、スムーズにペットを供養することが出来ます。

・火葬についての詳しい解説はコチラ

・埋葬についての詳しい解説はコチラ

自宅で遺体を安置させる場合

もしなんらかの理由で、ペットの遺体を自宅で保存しなければいけなくなった時は正しい方法で保存する必要があります。その場合は火葬することを前提として、以下の方法を行ってください。

ただし、これらの方法で安置していても夏は1日程度、冬でも2〜3日程度が限界です。なるべく早めに火葬してください。

・亡くなったあと速やかに遺体の手足を優しく折り曲げる
まず一番初めに、ご遺体をくるまって寝ているような姿になるように手足を優しく折り曲げます。これは死後硬直が起きてしまった時に、手足が伸びていると火葬炉に入らなくなる危険性があるため。

死後硬直は死後10分から3時間程度から始まり、その後24時間程度で解けていきます。殆どの場合、その日のうちに火葬することを考えると死後硬直が起こる前に身体を小さくする必要があるわけですね。

・身体をきれいにする
続いて身体のお手入れです。毛がある場合はブラッシングをして、身体はガーゼなどで優しく拭いてあげます。またこの時、目や肛門などの器官から体液や排泄物が流れてきますが、動物としてごく自然のことなので、焦らずこれらも拭き取りましょう。

・箱に入れて保冷剤で身体を冷やす
最後にきれいになった遺体をダンボールなどに入れ、頭や胸などに保冷剤を置いて体を冷やします。この時、ダンボールには新聞紙などの紙を敷いておくとまた液体や排泄物が流れてしまった時に、そのまま紙だけを取り替えられます。

また、保冷剤は直に当てると結露が発生し、袋の外に付着している水分が遺体について腐敗を進行させてしまいます。タオルなどで包んでから置いてください。

役所での手続き

飼っていたペットが犬だった場合、死後30日以内に役所に死亡届を提出する必要があります。死亡届には飼い主の情報、飼い犬の名前や犬種、死亡理由(老衰、病気、事故、その他)を記述します。

また、役所にはこの死亡届の他に登録した時に​​渡された鑑札も返却します。仮に死亡届を提出しなかった場合、市は飼い主の犬がまだ生きていると思って狂犬病対策の予防接種を行うように通達してきます。

この通達があるのにも関わらず、予防接種を行わなかった場合、20万円以下の罰金を支払わなければいけません。飼い主の犬は亡くなっているため、当然予防接種を受けられません。つまり、死亡届を提出しないと、ほぼ必ず罰金を支払うことになります。

ペットの犬が亡くなってお辛い気持ちであっても、必ず提出してください。幸い、期間は30日ありますし、インターネットと郵送で手続きは完了します。焦らず、ご自身の気持ちが落ち着いた時に手続きを行いましょう。

ペットを看取る事は家族として最後に出来ること

大好きなペットとは、ずっと一緒に楽しく暮らしていきたいと思うのは飼い主として当たり前のこと。そして、悲しいお別れの時に思考がまとまらないほど辛い気持ちになることも当たり前のことです。

しかし、だからこそペットを大切な家族の一員として見送ることが大切です。この記事を見てくださった飼い主様が、家族として、相棒として、飼い主として最後の責務を全うできることを切に願います。