ペットのご遺骨に関する疑問を解説〜骨に色が?骨壷の正しい保管方法など〜

コラム

「ペットの骨は家に持ち帰れる?」「ペットを火葬した時、骨に色が付いていたけどこれはなに?」「骨壷を大切に保管していたのに、なぜかカビが生えてしまった!」

そんな悩みを抱えている方は多いはず。特にペットの火葬は歴史が浅いため、様々な憶測が紛れ込んでいます。中には、実際に判明している事実と異なる情報が紛れ込んでいることも…。

今回は愛するペットとの別れを経験した方ならば一度は疑問に思った骨の知識をご紹介していきます。

ペットのご遺骨を残すにはどうすればいいの?

まず初めに、ペットのご遺骨を残すにはどのような火葬方法を選べば良いのかをご紹介します。そもそも、すべての火葬方法が返骨してくれるとは限りません。火葬方法のみならず、施設やコースでも返骨できる場合と出来ない場合がありますので、そこも含めてお話していきます。

また、ご遺骨の状態について知っておいてほしい事にも触れていきます。

骨を残す時は火葬方法に注目

まず、ご遺骨を残したいということは返骨してほしいということだと思いますが、その場合は個別火葬や一任火葬などの『1匹専用に火葬する方法』が必須になります。これはなぜかというと、合同火葬の場合は複数のペットを同じ火葬炉で同時に火葬するため、どれが誰の骨なのか分からなくなるからです。そのため合同火葬では返骨以前にお骨上げ等もなく、そのまま合同のお墓に埋葬されることになります。

また、火葬方法だけでなく、業者によって異なるコースにも注目。細かくコースを分けている業者の場合、「返骨あり」と「返骨なし」の2パターンを用意している事があります。その場合は、返骨なしの方が安い事の方が多いため、値段だけで判断して返骨なしコースを選ぶことのないようにしましょう。そもそも個別火葬しかない場合は念の為業者に問い合わせておくことをオススメします。

また、市による火葬では返骨されない事がほとんどです。こちらの理由はほぼ合同火葬と同じで、他のペットと一緒に火葬されたり、立ち会いそのものが出来ないため。ただし、市によっては個別火葬をしてくれるところもあるようです。

骨の状態は火葬技術やペットのサイズなどで変わる

骨について1つ気に留めておいて頂きたいことがあります。それは骨は必ずしもきれいな状態で焼ける保証が無いことです。もちろん、業者のスタッフは慎重に火葬しますが、それでも完璧な状態にする事はかなり難しいことなのです。

要因として挙げられるのが、火葬炉の性能や火葬時間。ペット用の火葬炉は人間用のそれより低火力な事が多いですが、それでも動物のサイズによっては必要十分な火力を誇ります。特に、旧式の火葬炉では火力の微調整が出来ないため、小動物など肉体が燃え尽きやすい動物だと骨が崩れてしまうこともありえます。また、焦げる事を恐れて逆に生焼けの骨になったというケースも稀ながらあるようです。

もう一つの要因は、同じ種類のペットでもサイズや体格、体重などで微妙に火葬時間が異なること。特に経験が浅いスタッフはマニュアル通りに火葬してしまい、適切な火葬時間を間違えてしまうことも…。

勿論、これらは業者全体でいえばかなり稀なケースです。ただし万が一に備えて、頼む予定の業者の公式サイトやレビューサイトなどで、設備や評判について調べておくことをオススメします。

ペットのご遺骨に色が付かないようにするためには?

骨の色…と言われてまず何色が浮かびますか?恐らく、ほとんどの人がきれいな真っ白の色を思い浮かぶかと思います。実際、博物館などに展示されているものは白色だったり、淡いクリーム色だったりと白に近い色が1色だけあるものが多いです。

そのため、火葬された直後のご遺骨を見て「骨の中に黒色が混じっている!」と驚かれる方も珍しくありません。でも実は、それは当たり前のことなのです。

ここでは、骨の色の正体やご遺骨に色が移らない副葬品について解説していきます。

骨に付着している色の正体

骨で最もよく見かける白色以外の色といえば恐らく黄色でしょうか。これは体脂肪の色素が付着したもの。特に体格の良い子や少し太り気味の子の場合は体脂肪が通常よりも多いため、よく骨が黄色くなるそうです。また、近年は室内飼いをする人が多く、食事の質が年々良くなっていることも理由の1つだと考えられています。

他には、体内にある鉄分やカルシウムなどの無機物が酸化したものが付着しているケースもあります。これは無機物の種類によって色が変化したもので、赤や青、黒と様々な色が付着します。

また、詳しくは後述しますが副葬品によっては色が移ってしまうことも…。特に衣服類や金属類は色が移りやすいため、気になる方は副葬品に注意しましょう。

骨ではなく、骨の周りにキラキラとした緑色の結晶が散らばっていた場合、それは胆のうと呼ばれる臓器に蓄えられた色素の可能性が高いです。ただし、胆のうであれば普通は下腹部あたりに散らばることになりますが、頭蓋骨や頚椎の周りに散らばる事もあるため、一概に胆のうとは断言できません。

誤解されやすい骨の色のウソ

実は、巷で噂されている骨の色についての情報にはウソが混じっているのをご存知ですか?

例えば、骨の色は投与された薬の色だという噂を耳にした事がありますが、これは真っ赤なウソ…というより語弊があると言ったほうが正しいでしょう。薬そのものの色素ではなく、薬によって増減された体内の無機物の影響ではないかというのが今の所有力視されています。

他にも、骨の黒い所はガンや腫瘍だという噂もあまり信用できません。というのも、確かにがん細胞は火葬される細胞の中でも特に密度が高いため、完全に燃やされるまで時間が掛かりますが、それでも適切な火葬時間さえ確保できていれば燃え尽きます。そのため、骨の黒色はがん細胞ではなく、無機物が酸化したものかタダのススじゃないかとされています。

黒色繋がりで言えば、歯の周りが黒いのは歯周病ではないかと言われていますが、実際は歯髄(しずい)が露出しているだけです。恐らくこういった俗説は、黒=病気や不健康の色という認識が広まったためでしょう。

また、副葬品として入れるお花や食べ物の色が移るなんてこともほぼありません。お花は色が移る前に燃え尽きますし、食べ物もそんな色が移るほどの濃い色はよほど体に悪いものじゃない限り存在しないでしょう。ただし、副葬品の中には色移りしてしまうものも少なからず存在します。

避けたほうが良い副葬品

プラスチックなどの有害なガスが放出されるものは当然NGとして、他にも避けたほうが良い副葬品としては金属類や衣服、紙が挙げられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

まず金属類。これはそもそも金属類は蒸発しない…つまり完全に無くなることがない上、酸化する過程で骨に付着してしまうためです。

次に衣服類…特に難焼性の生地や化学繊維の生地は燃えづらく、燃えている間に色素が骨に付着してしまうため。そもそも、煙が出やすいなどの理由から衣服類そのものが推奨されないことも多いです。

最後に紙ですが…これは単純にススが出やすいためです。ページ1枚程度なら影響が少ないため、手紙などを副葬品にすることはできますが、ノート1冊分など明らかに量が多い場合はスタッフに断られることもあります。

副葬品はペットと縁のあるものを選びたいところですが、ご遺骨をきれいに残したい場合は素材を吟味することを忘れずに。

必ずしも真っ白なことはない

これだけは確実に言えますが、全く同じ骨というのは存在しません。体脂肪や鉄分、ミネラルなどの体組織だけでも多彩な色となって現れますし、その体組織もペットによって量が異なります。

火葬された直後の骨をそうそう見る機会なんて無いですし、骨は真っ白なものと認識してしまうのも仕方ありません。でもその誤解が、黒色だから病気だった、身体に異常があったと自分を追い込むようなことになってしまうこともあります。

『骨は個性』そう思うことが大切です。

ペットのご遺骨が崩れてしまう原因ってなに?

火葬段階や骨上げする時、ご遺骨が崩れてしまったというお話を良く耳にします。それほど、人間と比べて繊細な骨を持つ動物が多いのです。それでも、できることならきれいな状態のまま骨壷に収めたいですよね。

ここではご遺骨が崩れてしまう原因とその対策について解説していきます。

火力が強いなど施設及び技術の問題

まず火葬炉から出てきた段階で崩れてしまっているケースですが、これは火葬炉や焼却時間が原因です。先述したとおり、古い火葬炉などは火力の調整が効かずに高火力になってしまうことがあり、結果として骨を焼きすぎてしまいがち。火葬業者を選ぶ際は火葬炉の性能にも注目してみましょう。

スタッフの火葬する技術が不足しているケースもあります。そもそも、火葬というのは体格などの外見だけでなく脂肪や体組織の量でも時間が異なってくるため、マニュアルだけでなく経験も必要になる難しい作業です。特に小動物は比較的火葬時間が短くなるため、更に難易度が高いとされています。

もちろん、スタッフも慎重に火葬していますし、できる限り完璧な状態になるように努めていますが、少数ながらこういった施設や技術不足で失敗してしまうケースも存在します。

骨壷に収めるときは優しく

続いて骨壷に収める時に崩れてしまうパターン。これは骨の強度が自分の想定と異なっていた場合に起こります。特に動物の…まして愛玩動物になるような可愛らしい動物は骨が人間のそれよりも繊細な事が多いです。慎重に骨上げをしていても骨の部位によってはどうしても崩れてしまうことも…。

最も危険なのは頭蓋骨。複雑な構造をしているうえ、構成されている骨の中には特に小さい骨も多く混じっています。「他はきれいに収めたけど、頭蓋骨だけ崩れてしまった」というお話はよく聞きます。骨上げする際は、慎重すぎるぐらいの気持ちで。どうしても自信がない場合はスタッフの力を借りることも考えましょう。

骨上げに関してはの詳しい解説はコチラ

ペットのご遺骨を保管する時に注意することってある?

ペットに限らず、骨壷というものはカビの危険と隣り合わせです。

そもそも骨というのは、小さな穴が無数に空いている上に中は空洞なものです。それを壷の中に入れるため、もし壷の中に水分が入り込んでしまったら、その水分が骨に付着してカビが繁殖しやすい環境を作ってしまいます。

しばらく放置してしまい、ふとした時に開けたらカビが生えていた!なんてことにならない様に、ここでは正しい保管場所とカビ対策について解説していきます。

湿気や湿度など環境に気をつける

骨壷を部屋に置く時は配置する場所が大切です。特に気をつけるべきなのは以下の3点。

・直射日光が当たらないこと
・風通しが良く、湿度が高くないこと
・昼夜で温度差が激しくないところ

まず1つめの直射日光が当たらないことですが、これは他の家具と同じ理由で、劣化や変色の原因になるためです。特に窓から日が当たる場所は避けたほうが無難でしょう。

2つめですが、最も配置してはいけないのが水回りです。そもそもなぜ湿気を避けるのかというと、骨壷と蓋の間にある小さな隙間から湿気が入り込むためです。湿気…つまり水分が入った空気が流れ込み、カビが繁殖しやすい環境になってしまいます。

3つめの温度差ですが、これは結露を防ぐためです。保管場所の温度の変化と、骨壷内の気温の差によって結露が発生してしまうと、骨壷内に水分ができてしまいカビの繁殖する原因になります。

それでも、ご遺骨の中にどうしても僅かな水分が入ってしまうこともあるため、定期的に天日干しもしておきましょう。

カビ対策をする

保管場所に気をつける以外にも効果的なカビ対策では、吸湿剤がおすすめです。先述したように、カビの根本的な原因は湿気による繁殖です。特に、水は滴り落ちるため骨壷の底に水分が溜まりやすいため、吸湿剤を置く際はなるべく底の方にすると効果的です。

また、マスキングテープなどで骨壷と蓋の境目を完全に密封すると、湿気が入る隙間を無くす事ができます。その際はガムテープなどを使用すると吸湿剤の入れ替えなどで剥がす際に汚れてしまうため、なるべく剥がしやすいテープを使用しましょう。

カビが出来てしまった時にすること

もしカビが出来てしまった場合はなるべく触らずに、専門業者に頼む方が無難です。というのも、骨を削らずにカビを除去するには骨をもう一度火葬し、カビだけを焼き払う必要があるためです。個人でできるものでもないですし、無理に燃やそうとすれば火事の原因になり大変危険です。

ただし、僅かなカビの場合は天日干しすることで繁殖を抑えることができます。カビ対策でもお話しましたが、定期的にお日様に当てて乾かしましょう。

ここまでカビについてお話しましたが、そもそもカビじゃない可能性も考えられます。もし骨壷を覗いた時に色に違和感があった場合、カビだと決めつけないでよく観察しましょう。骨の色は真っ白ではありません。もしかしたら元々色が付いていて、それがカビに見えただけだったということもありえます。

ペットのご遺骨は必死に生きていた証

我々人間も含めて、骨というものは見た目こそ同じでも、他の個体と中身までまったく同じということはありません。体格による体脂肪、身体に流れる鉄分などの無機物、骨の健康状態など様々な要因で形や色が異なります。

骨というのはいわば今まで生きてきたすべてが形となった証のようなもの。正しい知識さえあれば、その骨をきれいに保管することも、埋葬してあげることもできます。

ぜひペットが生きてきた証を大切にしてあげてください。

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